第三章 六月下旬~七月下旬 5
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「何ですか?」
「先週の土曜日の午後のこと」
「ああ、ばれてました?いいですけど、照れちゃいます」
「西野さんね、ここに見に来たのよ、お忍びで。気になったわけ?」
「ええ、長谷川さんから金曜日に連絡していただいた時に嬉しくなって、どんな風になったのか、すごい気になって。なんの予定もなかったんで」
「可愛いブラウスとキュートな柄のフレアースカートの組み合わせで、素敵だったって。お家、近くなの?」
「代々木です」
「代々木から?遠いじゃないですか」
「それでも、早く見たくなって」
「いい心がけだ」
「積極性、佐伯さんも見習わなくちゃね」
「その通りでございます」
春夫は、返す言葉が見つからない。それでも、気分は爽快だった。レイハナ八号店のフェルシアーノコーナーを作らせた主役は自分だという自負があったからである。後は数字であるが、そういう意味でも売れ行き好調で、満足すべき状態と聞くと嬉しくなった。
この前寄った二階の喫茶室で、明美は、レイハナ八号店のフェルシアーノコーナーの設置で、営業の喜びを知ったと春夫に言った。
「どうしたら、自分の会社の販売戦略といったものを相手に理解してもらえるか、とか相手の弱点と感じていそうな部分をさりげなく示してフェルシアーノのコーナーを作れば店舗全体の売り上げが伸びますよ、とかアドバイスしながら食い込んで行く。頭も使いますよね」
「うん、せいぜい勉強して頑張って。僕の新入社員の時より、よっぽどしっかりしてる」
「そりゃあ、まあ。異業種とは言え、中途入社ですからね」
明美は、当然と言いたげに言葉を返して来たのだった。
春夫の頭の中では、営業会議の資料に書かれる5の数字が踊っていた。ポイント5をふたりしてゲットしたのだ。




