第二章 五月下旬~六月中旬 21
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「それでね、アナタがアルバイトだったので私が対応していたけど、今度、フェルシアーノさん単独のコーナーを作ることにしたの。一番の理由は、ペンペースとポーチがコーナーを作ることでさらに売れるんじゃないかと判断したからなんだけど、場所をどこにしたら、なのよね」
長谷川店長は、売り場の地図が書かれた紙が挟まったプラスチック板をテーブルの上に置いた。
「ここが入り口、ここがレジカウンターです。どの辺りをご希望?」
入り口近くの文房具売り場が始める辺りでもいいが、レイハナ八号店に入った若い女性達は、まず、化粧品売り場の方に行きそうである。フェルシアーノのコーナーを設ける限り、流れの中での消費者意欲を駆り立てたい。
「ここかなあ。西野さんの意見は?」
春夫は、レジカウンターの後ろの通路側を指しながら明美の考えを求めた。広い通路の向かい側は、スポーツ器具売り場である。
「いい場所ですね。入り口の一番前に大きなワゴンを置いてもらって、もいいと思いましたけど」
明美が、自分の考えを言った。
「ああ、そこは、ちょっと無理。キャンペーン的に売りたい商品のためにスペース確保しておきたいの」
「でしたら、佐伯が言いました此処がいいと思います」
「分かりました。実際の売り場で確認した方がいいんじゃない?」
「そうですね。私達、そのまま帰らせていただきますので」
春夫は、ソファから立ち上がると鞄を持った。
場所的には申し分なかった。四角く囲ったレジカウンターの後ろには十分なスペースがある。
「この辺りにテーブル式のワゴンを置いて、レイハナ八号店でアピール出来そうな商品を入れればいいんじゃない?その隣に専用棚」
「ありがとうございます。それでけっこうでございます。加えて、天井からフェルシアーノ特設コーナーとかのパネルをぶら下げていただけると嬉しいです」
「うちは吊り下げパネルは商品の種類ごとにしているだけなので、ちょっと難しいかな」
「分かりました」
「ポップは作りましょう。吾妻さん、考えてさしあげて」
「挑戦してみます」
吾妻雛子が、答えた。
話がうまい具合に転がり、今日の訪問は、大成功である。
「今後ともよろしくお願いいたします」
丁寧に頭を下げた後、明美が、長谷川店長に微笑みを浮かべて小さく頷くのを春夫は見た。
「ああ、その視線。艶っぽい」
華やかに笑う長谷川店長の頬は、瞬く間に紅潮していった。今度は、ピンクを通り越して、レッドに達していた。
店長の乙女のような変化を吾妻雛子がびっくりした顔で眺めている。




