第二章 五月下旬~六月中旬 20
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商談に入る。
「弊社のコーナーを設けていただけることに前向きということで、ありがとうございます」
「フェルシアーノさんの商品、特にペンケースとかポーチとかうちの顧客層にマッチングしているように感じましたので、決定と受け取っていただいてかまいません。加田さん、佐伯さんおふたりの熱意も加味してですけどね」
「感激です」
「場所ですけど、当然、文房具売り場の一角になりますけど、此処にというご希望があれば出来る限り沿いたいと思っております」
「ありがとうございます」
春夫は,礼を言い、断られるかも知れないな、と思いながら商品ごとのコーナーにも商品を置いてもらえないか、と交渉する。
「いいですよ。それをお望みなら」
長谷川店長は、立ち上がり内線を入れた。
「現時点では、派遣社員の形ですけど、来月から正社員になる女性呼びましたから」
そう言ってソファに戻った。
「先ほど、こちらの世界とおっしゃってましたけど、これまでは?ごめんなさい、立ち入ったこと聞いちゃって」
「いいです。ニューハーフクラブです」
「売れっ子だったでしょう。これだけの美貌のニューハーフさん、なかなかいないんじゃありません、ねえっ?」
春夫に同意を求める。
「そうですね」
肯定的答えを返した時、ノックの音が聞こえた。
制服のジャンパーに紺のパンツルックの女性が入って来た。
「吾妻雛子さん、先月下旬にアルバイトで入ってもらったけど、来月から正社員になってもらうことにしました。頭の回転がいい人なので、十分働けると信頼しています」
「いえ、いえ」
謙遜する吾妻雛子に春夫と明美を紹介する。
来月には作り変えられるだろう名刺には、文房具売り場担当吾妻雛子と書かれていた。長谷川店長の横に座った。




