ジェームソンにワンコ
正直言って、前話のあれからどうやって進めべきか分からなかったんですよね。だから、視点を変えようと思いました。働いている12歳の子供の思考はなんだろうね。
それでは、ジェームソンの視点です。
10時半。
そろそろ帰る時間だ、とジェームソンは思っている。
壁の時計を見ていると、その下を歩いている部長のフランクの姿が目に入ったので、今日の新聞をサッチェルバッグに入れ、近寄ってみた。
「あの、フランク部長。僕帰ってもいい?」
「ふむ?ああ、ジェームソン君か。君朝のシフト入ったんだね?ご苦労さん。もう上がってもいいよ」
「ありがとう。じゃあお疲れ様」
「おう、お疲れ。帰り道に気を付けろよ!」
「うん」
そういって、ジェームソンは自分の帽子を棚から取り、郵便局舎を出た。この帽子は郵便配達員の制服で、失くしたらすごくお金がかかるから、いつも大事にしている。
朝早くから住宅街を走り回るのは疲れるが、ジェームソンは紙の仕分けが好きで、自分が担当した手紙や書類がきれいに並んでいるのを見ると嬉しくなっちゃう。それに、新聞配達の後の休憩時間には、会社が朝食を用意してくれることもあるから、それも含めてこの仕事は全然悪くないと思っている。
手放すのは寂しいだろうな……
「ただいま――」
「ダメったらダメ」
「なんで!レイチェルはこの子飼いたいのにぃ!」
ドアを開けると、いつもより少し騒がしい家なので、誰も返事してくれない。
観ればリビングに母マーガレットと妹レイチェルが言い争い、その間に小動物がいる。子犬か?いや、子狼?
帽子をちゃんと置いたあと、何があったのか聞こうとしたら、気づかれたのかキッチンの方から誰かに声かけていた。
「お帰り、兄さん」
「ゲイル……うん、ただいま」
ゲイルに兄さん呼ばわりはまだ変な感じがするな、とジェームソンはその気持ちを深く閉ざす。ちょっぴり……いや、かなり変な人とはいえ、ゲイルはみんなの恩人でして、純粋にいい人だから。
ましてや、5年も一緒に暮らしているのでもはや家族のようなものだ。可愛い弟の身体をしている兄に当たる存在?みたいな。
ジェームソンがゲイルと一緒にキッチンに入ると、そこには困った顔をした父ジェームスも隠れていた。その姿を見て、ジェームソンは何かを思い出し、サッチェルバッグに手を入れて新聞を取り出し、ジェームスに渡しました。
「はい、お父さん。今日の新聞」
「おぉ、サンキュな」
ジェームソンはジェームソンの手から新聞を受け取り、すぐに読みました。
「どれどれ……ゲッ、また戦争の話か。スポーツの記事はどこだ?」
ジェームスは、まるで今の状況から逃れようとするかのように、パパっと新聞をめくる。スポーツという言葉を聞くと、ゲイルは耳をそばだて、ジェームスに混じって新聞を読んでいる。
ジェームソンは、どちらかというと、スポーツにはあまり興味がない。むしろ、リビングで何が起きているのかが知りたいのだ。
「で、何があった?」
「えっと。今日、教会の子供たちが遠足に行ったしたらしいが、怪我した子犬が見つけちゃってて、レイチェルがその子を家に連れてきたんだ。飼いたいからって」
「ふん……」
「シスターさんがいなかったら、この子は今もまだ苦しんでるのにぃ!怪我をしてて一人きりだったんだよ!かわいそうだもん!」
こっちの会話が聞こえてるか、レイチェルが横から割り込み、子犬をぎゅっと抱いていく。
「そうはいっても、うちでは飼えないの、魔物なんか。ペットを飼うということは、ひとつの命を預かるということ。お風呂に入れたり、散歩させたり、トイレのしつけをしたり、食事も必要……して、もし病気になったらどうする?ペットポーション買ったり、獣医さんに診てもらうお金もないの」
「レイチェルなら出来るもん!ごはんならレイチェルのがあげるし、トイレもレイチェルがしつけるし、散歩も、お風呂も!病気してもまたシスターさんに頼めばいいもん!」
「そんなわけ……ああ、もう、お父さんもなんか言って」
レイチェルが正論を言っても聞かないのを見て、マーガレットは静かに新聞を読んでいるジェームスに目を向ける。
突然声をかけられたジェームズは、新聞から顔を出し、一緒に読んでいたゲイルをがっかりさせながら、そっと新聞を折りたた。
そして、こほん、と言い始める。
「お父さんはね、レイチェルがこんなに優しい子になったのはうれしいよ。でもね、もしまた急遽引っ越すことになったら、犬は連れていけないんだよ」
「で、でも……う、うわああああぁぁぁ!わああぁぁ!!」
そう言われて、レイチェルは反論しようしていたが、言葉に詰まり、泣き出してしまう。
急遽引っ越しというのは、グリフィン聖帝国からの追っ手がゲイルのことを嗅ぎつけたため、また逃げ出さなければならない、という遠回しに言っている。詳しいことはジェームソンもよく分からないが、分かってるのは、ゲイルが実はとてつもないもので、グリフィン聖帝国や他の国々からも求められていることだ。
そして、それらからゲイルを守るのがジェームソン達の役目。
そのため、ベイカー家では、ふとしたきっかけであちこちに移住することが当たり前になっているのだ。
そして、その際には、せっかくできた友人や得た仕事からも必然的に離れることになる。
レイチェルもそれを分かってるはず……いや、分かっているからなんだろうか?父ジェームスの正論に言い返せないけれど、それでも子犬を飼いたい気持ちに勝てないから、どちらに選ばれなくなって、泣き出すことしかできなくなったかもしれない。
レイチェルがこうやって癇癪を起こした以上、親兄弟でさえも落ち着かせることはできない。こちらの話を一切聞こうとしなくなる。聞くのは一人、ゲイルだけだ。
パッと、ゲイルが手をたたいて、注目を自分に向けた。
「じゃぁ、こうしよう。ワンコちゃんがいい家族と暮らせるように、僕たちが新し飼い主を探して行こう。それまでは僕たちで面倒を見てみる。それなら、ワンコちゃんも一人きりにならないだろう?」
「…………いい家族ぅ……?」
「うん。もしかしたら、ワンコちゃん、お城に住んでいるになるんだよ!」
「お城さんに?!」
「そうだったらレイチェルも文句を言わないだろう?」
「お城さんならレイチェルも一緒に住みたいぐらい!うん、じゃぁそうする!いい飼い主探してみる!!」
「いい子だ」
そういって、ゲイルがレイチェルを褒めながら頭をなでる。そうしたら、レイチェルがえへへって笑ってくる。その姿を見て、マーガレットはため息をついた。
こうして、一番年下なのに、ゲイルはいつもいつでも一番大人に見える。本当に変な人だ、とジェームソンは思って笑う。
その後、サラを除いた家族全員で、子犬をどうするか話し合う。
レイチェルは子犬の世話をすると約束し、ゲイルはペットを飼うことは責任を教えるのに良い方法だと付け加えた。
結局、マーガレットが納得して、子犬を最長1週間まで預かることになった。
子犬の(仮)名前も決まった。レイチェルは力強い名前にしたいと言っていたので、ゲイルの提案でフェンリルと名付けることになった。巨人の子である伝説の狼の名前らしい。
♢♦♢♦♢
「なに、こいつ?魔物?」
午前5時に、サラが冒険家の仕事から帰ってきた。家にいる犬が見えると、見下すような視線を送る。
子犬――フェンリルは、お風呂の後でまだびしょ濡れのまま廊下を走っている。その後ろで、同じくお風呂上がりのレイチェルがフェンリルを追いかけて、タオルで捕獲して乾かそうとしている。
「こいつじゃない、フェンリルちゃんだよ!」
「どうでもいいけど、私の部屋に入ったら殺すわよ」
「もう、サラちゃんの意地悪い!」
レイチェルは口を尖らせたが、サラはそれを無視して自分の部屋へ向かった。
この小説を書くことは自分に対する挑戦であり、成長の証でもあります。まだ日本語を覚えている途中なので、どのように文章を改善すればいいか教えていただけると助かります。
ここまでお付き合いいただき、誠にありがとうございます!今後ともよろしくお願いいたします!




