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新たな始まりに

遅れてすみません、仕事がおろそかになってしまって積もり積もっています。

 ハーメル村の中心部から少し離れたところにある小さな家。

 小さいと言っても、多くの家が大人二人と子供1~2人しか住めないのに対し、この家は大人二人と子供四人が住めるので、村内の他家と比べても比較的大きい方だと言えるだろう。

 俺がこの家を小さいと思うのは、5年前に住んでいたお城に比べればずっと小さいからだ。


 俺、リュウマ・ヘヴェンズゲートは、この家でベイカー家と一緒に暮らしている――が、追っ手から気配を消すために、彼らはもはやベイカーではなく、サマーと名乗るようになり、俺も同じように名を偽るようになった。


「ゲイル、レイチェルを起こしてきて。お兄ちゃんもうすぐ帰ってくるから」

「うん、お母さん」


 マーガレットさんにそう返事した。

 今現在、俺はゲイル・サマーという名前を使っている。

 ジェームズ・サマーとマーガレット・サマーの息子で、レイチェル・サマーとは年齢が近いこともあって双子の弟になっている。

 ある事情により、俺はベイカー家のふりした息子として、グリフィン聖帝国から逃げるように暮らすことになったのだ。あれから5年――今日は5年目の記念日であり、偶然にも俺の誕生日でもある。


 俺とレイチェルの部屋のドアを開けると、義理の姉が俺たち二人のベッドで寝ていた。

 まあ、仕方ないかぁ。昨日から俺たちの誕生日パーティーのことで興奮して、昨夜は眠れなかったんだからな。あの小さかったレイチェルも今や5歳か。時間が経つのは本当に早いものだ。

 俺も同じ5歳なんだけど……


 レイチェルはぐっすり眠っているので、起こすのは悪い気がするが、誕生日パーティーを見逃させるのはかわいそうなので、体を揺すって起こそうとする。


「レイチェル、おきて。レイチェル。パーティー逃したくないでしょ?」

「ほわぁ〜。ゲイル?パーティーはじまっちゃうの?」

「うん。行こうよ!」


 まだ完全に目が覚めていないレイチェルが眠そうな目を右手でこすっているので、俺は左手を掴んで部屋の外に引きずり出してやった。


 食卓には七面鳥の丸焼きが大きな皿に載っていて、ハーブ入りのマッシュポテトが大盛りで、デザートにはマーガレットさんが焼いたばかりのアップルパイが置かれている。

 前世の俺なら、誕生日のケーキがないなどと、誕生日パーティーらしいご馳走とは思えなかったかもしれないが、この世界で5年も生きてきた俺としては、これが俺たちのような中~下流家庭の大ご馳走であることがよくわかっている。


 七面鳥などの家禽類は、豚と違って飼育に手間がかかるので、珍味として扱われる。特に家禽類は身体が小さいので、魔物の格好の餌になる。地球では鶏は牛肉や豚肉の代替品として安く手に入ることを考えると、やはりこの世界の常識として順応しているのだ。

 だから、七面鳥の丸焼きを見て、レイチェルが喜ぶのも無理はない。


「ローストターキーだ〜っ! わ~い!!」


 レイチェルは、さっきまでの眠気もどこへやら、席に座ってローストターキーに手を伸ばそうとしたところで絶叫。

 そんなレイチェルを見て、ミトンをかぶったマーガレットさんが、七面鳥に手をつける前に、レイチェルの手をひっぱたくのだ。


「こらっ! つまみ食いしないの! いい子だから、お兄ちゃんが帰るまでまっていて」

「チぇー」


 ふて腐れるレイチェル。周りを見渡すと、長女のサラだけが何も言わずにテーブルに座っているのを見て、レイチェルはキッチンにいるマーガレットさんに尋ねる。


「お父さんは?」

「お父さんは見張りの当番があるのよ。最近、魔物が畑に出没することが多くなったから、お誕生日会には出られないみたい」

「そんな!?お父さんと一緒にパーティーしたかったのに!」


 ジェームズさんが誕生日会に参加できないことを知ったレイチェルは、本気で落ち込んでいるようだ。そんなレイチェルをなだめるために、俺はこう言った。


「仕方がないよ。お父さんが見張りをしないと、魔物に畑を食い荒らされっちゃうし、そうしたら俺たち飢え死にするんだよ。お父さんのために残飯をとっておいて、帰ってきたらまたパーティーをやろうか?」

「じゃあ、そうする。レイチェル、ターキーのもも肉好きだけど、お父さんはもっと好きだから、レイチェルはお父さんのために残しておく!」

「いい子だ」


 俺はレイチェルを褒め、頭を撫でた。 そうしたら、レイチェルがえへへって笑ってくる。そんな俺たちを見て、マーガレットさんは笑顔を浮かべる。

 ちょうどその時、玄関のドアが開き、誰かが中に入ってきた。


「ただいまー」


 長男のジェームソンだった。

 12歳の彼は、すでに郵便配達員として家々を回って郵便や新聞を送る仕事をしている。地球では12歳といえば小学校6年生くらいだが、この世界には義務教育がないので、常人の子供は10歳という早い時期から働いている。

 もっとも、貴族の子弟は8歳からまともな教育を受けるそうだが、我々のような逃亡者にはとても及ばないことだ。


 帽子を置いた後、ジェームソンはサッチェルバッグの中からラッピングされた箱を2つ取り出して、俺とレイチェルに渡した。


「レイチェル、ゲイル。はい、プレゼント」


ジェームソンはそう言って、自分の部屋にサッチェルバッグを置きに行く。

レイチェルは箱の包みを開け、中に入っているものを見ると――


「やったー!かわいいリボンだ〜!!お兄ちゃん、ありがとう!!大好き!」


 レイチェルは青いリボンを持ち上げて感嘆の声を上げる。俺はその姿に微笑み、そして自分の誕生日プレゼントの包装を解く。

 箱の中にハーモニカがある。それを見て、即座にジェームソンに駆け寄り、後ろから抱きつく。


「ありがとう」

「……うん」


 と短く答えてくれた。


 ハーモニカなんて、かなり高価な品物だったはず。

 逃亡者の俺たちには余りお金がないから、ジェームズもマーガレットもジェームソンも、そしてサラだって働いているのだ。それなのに、ジェームソンは俺にハーモニカを買うために、働いて得たお金をつぎ込んでいるだろう。


 実を言うと、声を出すと魔法爆発を起こす危険性があるため、現在俺の声は封印されている。今は、口パクでしゃべってるふりをして、ミニチュア通信の《魔道具》のネックレスを首から下げて、自分の思いを語っている。

 しかし、しばらくすると寂しくなってくる。

 それに、口で音を出すことはできないけど、空気を吐き出すことはできる。それで喋るを代用できるんじゃないかなって、「管楽器があればいいのになぁ」とある日ぼやいた。まさか、ジェームソンが本当に買ってくれるとは思わなかった。


 このハーモニカがあれば、声は出せなくとも、口で音を出すことくらいはできる。


「もういいでしょう?さっさと始めてよ、私朝早いんだから!」


そこで黙っていたサラが口を開いた。もう我慢の限界のようで、早く誕生日会を開きたいようだ。

そのツンツンぶりを見て、マーガレットさんがサラにちょっかいを出す。


「そう言って、プレゼント代自分も出してるくせに」

「フン」


 サラは鼻を鳴らすだけで、否定も肯定もしなかった。

 まあ、その頑固な性格はもうみんな知っているから別にいいんだけど。むしろ、無愛想な仮面の裏側で、サラもサラなりに俺たちのことを気にかけてくれていることがわかる。


「サラもありがとう」

「ありがとう、サラちゃん!」


 俺とレイチェルは、それぞれお姉さんに感謝の言葉を述べた。

 まあ、前世で死んだのは20歳の時だから、俺の方が年上ということになるのだが、サラはそんなこと知る由もない。何も言わずに俺たちの感謝の気持ちを受け止めてくれるだけだ。


 俺とジェームソンが席に着き、マーガレットさんがテーブルに着くと、誕生日パーティーが始まる。

 とは言っても、ケーキも何もないので、俺の知る前世での誕生日会とは大幅に違う。

 バースデーソングを歌ったり、ロウソクに願いをかけたりしない代わりに、今年も良い年になりますようにと神々に祈り、去年一年間を無事に過ごせたことに感謝するのだ。

 魔法が実在し、神々の存在が目に見えても当然このファンタジー世界では、人々の宗教に対する信仰心が飛び抜けて高い。


 お祈りの後、ごちそうを食べ始める。何度も何度もチラ見しながらも、約束通り、レイチェルはしぶしぶジェームズさんに七面鳥のもも肉を残す。

 ごちそうが終わり、皿洗いをしようとしたら、サラに追い出された。


「あんた、上の食器棚に手が届かないんだろ?ここにいても、邪魔なだけだから」


 と主張した。

 まあ、確かに俺はまだ5歳なので短いんだけど、別の意味で言っているような気がするもないわけではない。

 誕生日の子が、家事なんてするな……とか?


 そのため、夜が深くなってレイチェルが眠気を抑えられなくなるまで、俺はレイチェルと伝統的なゲームをいくつかした。眠気に抗いながら、レイチェルの頭は上下に揺れる。


「もう寝ようよ、レイチェル」

「でも、お父さんが……」


 寝ようと誘ったのに、レイチェルはジェームスさんが帰ってくるまで起きていたいと言った。よほどお父さんと一緒に誕生日を祝いたいのだろう。


「お父さんが帰ってきたら起こしてあげるからさ」

「本当?」

「うん。だから寝ようよ、ね?」

「じゃあ、そうする」


 そう言って、レイチェルはようやく寝ることに同意する。嘘つくのは悪いことだと思うけど、それも子育てのうちだ。後で埋め合わせをすれば、それでいい。

 こうしてレイチェルの面倒を見ていると、前世の妹を思い出す。


 パーティーが終わると、家の中は静寂に包まれる。

 ジェームソンもサラも朝早くから仕事なので、もうベッドにもぐりこんでいる。マーガレットは、七面鳥で予算が圧迫されたのか、家計簿をつけていて邪魔にならない。レイチェルは俺の横でぐっすり眠っている。


 結局、ジェームスさんが帰ってきたのは夜中の12時過ぎだった。


この小説を書くことは自分に対する挑戦であり、成長の証でもあります。まだ日本語を覚えている途中なので、どのように文章を改善すればいいか教えていただけると助かります。


ここまでお付き合いいただき、誠にありがとうございます!今後ともよろしくお願いいたします!

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