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その座を奪われた主人公   作者: 大野春
第五章 過去の過ち
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46話 過去の過ち


予想通り、俺、フレデリック・ショパニは生きていた。


あの日・・・

ベバールの塔での戦い。

最後に俺とレオナルドの一撃は、互いに剣を持つ力を奪った。

後々聞いてみれば、俺もレオナルドも、魔法による小さな鉄球を胸に喰らい、倒れ、それを回復するように酒を飲んでいたのだという。


こういう所も、被ってるんだよ。レオナルドは・・・


そして俺たちは、倒れていた。

気を失ったまま・・・

ビゼは状況が飲めないなりに、判断し、ブリゲル皇帝を確保した。


塔から降りてきたマタタキ、アシト、そしてカルバヤシ。彼らが集まり、そこで、あの日の戦争は終わりを告げた。


この戦争は消極的戦争パッシブ・ウォーなどと名付けられた。それはムジーク王国側には死者が出なかった事。そして何より無血を目指して戦ったことからこの名前がついた。


俺は不満があった。

この戦争に平和的なやり方を進め、指導したのがマタタキであると、誰もが言うからだ。


いや、確かにそうなのかもしれないが。



旧・グラフィカ帝国は大きな損害を出していた。暴れまわったカルバヤシが街や人を襲ったという事実は間違いない。そして被害が出た。


それでも、兵士達が直接衝突し、何人もが血を流すような事はなく、簡単に国を塗り替えることの出来たこの戦争は、平和な未来へも導く事が出来た。




グラフィカ帝国が無くなることに、抵抗を示す者はいなかった。いつのまにかブリゲル皇帝は暴君となっていたし、死兵を作り出すために多くの兵士が殺されていたからだ。

遅かれ早かれ、俺たちじゃなくても、反乱が起きていた可能性は高かった。




あの日から、国が変わってから

復興は進み、そして死兵となってしまった者達には、ある選択が与えられる事になった。


ひとつは、死を受け入れ、死ぬ、という事。

ふたつは、死を受け入れずに、死なない、という事。

単純な二択だった。


死を選ばなかった者は、集落を作り、その集落で生き、生産活動を行う事になった。

死を選んだものは、全ての思考を停止させ、土葬した。


それしか、方法がなかった。


ベバールの塔は今、ドクタートキタビが発明したラジオというシステムの運用のために使われ始めている。

あの高い塔から喋った言葉が、色んなところでも聴けるようになるらしいのだ。

有事の際、伝達の砲弾を飛ばす必要も無くなった。技術は進歩していく。



俺?

俺はその一連の戦いの報告を、4代目ムジーク王にした。

その功績は、大いに讃えられた。国を取ってきたからだ。もちろん、騎士団長は復活の運びとなる。



しかし。



「フレデリックよ。貴様は許さん」



王様はその件については、やっぱり、怒っていた。



過去の過ち・・・その負の連鎖を断ち切ったつもりだったのに・・・

やっぱりダメでした。俺。

俺らしいや。

せめてもの温情で騎士団には一般兵として入ることを許された。但し、今後一切酒は飲むなという事だ。


アンナとは後々、和解した。

和解というか、謝罪した。

それにしても、シラフの時に見る姫は・・・

ブスだった。



そうだ。もうひとり、謝らなくちゃならない人間がいる。



俺はその場所へ、歩き出していた。


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