45話 祝祭の日
ー回想ーーー
《ムジーク王国ームジーク城》
《大広間》
《ー祝祭の日ー》
「いいか!そこで俺はなぁ、その最強と謳われた男に、殴りを入れたんだ!最後の力を振り絞ってな!はははっ!それでコテンパンにしてやった!」
・・・はぁ、またその話ししてるっスよ。
「マタタキ先輩。団長がまた同じ話してますよ」
ワイは信頼を置くマタタキ先輩に話しかける。
「アシト。今日ぐらい許してあげなよ」
「いやぁ、今日ぐらいって言いますけど、団長、酒が入ればいつもアレじゃないですか」
その日は祝祭の日といって、この国の樹立及び平和的存続を祝う祭りが行われていた。
国賓やらなんやら集まったり、ワイら騎士団も役に立ってないのに呼ばれたりして、最初は厳かな感じだったのに、気がつけばみんな酒が入ってバカ騒ぎ。
「今日のフッさんはいつも以上にキマってるね」
苦笑しながら団長を見ているマタタキ先輩。祝祭の日を祝って贈られたグラフィカ帝国謹製のキャンパ酒。その樽をひとりで飲んでいる。
ワイらは一応礼儀として、団長がひとりで飲んでいる酒には手を出さない。
まぁ、気分は良いもんだ。
ワイは死んじまって、こんなワケの分かんねーファイナルなファンタジーやドラゴンのクエストみたいな世界にいる訳だが。やっぱり酒はうまい。
「ごきげんよう。騎士団の皆さん」
そこに現れたのは顔を赤くした、この国の王の愛娘アンナ。痩せ細ったオットセイみたいな顔をしている。ブスってやつだ。
「一同!アンナ姫に敬礼!」
マタタキ先輩の号令で皆が引き締まる。
「今日は祝祭の日。そんな皆様、そんな固くならずに」
その顔に見合わぬ綺麗なドレスから露出したブスの肩に、手がかかる。団長だ!
「え??ええっ!?何がカタくなるだってぇ?」
・・・あぁ、団長、やべーっすよこれ。
「いやん!もぅ〜」
えっ!?満更でも無い!?
それにしても、今日の騎士団長の顔がいつも以上に下品でエロいのは気のせいか?・・・
ー回想おわりーーー
「どうした?アシト?」
思い出し笑いをしている所をマタタキ先輩に見られた。
「いやぁ、一年前のね、この場所の事思い出しちまって」
「ああ・・・あの日のフッさんのことか・・・そうだね。笑える」
今年の祝祭の日は、より多くの人間が集まった。
それもそのはずだ。隣のグラフィカ帝国は、ムジーク王国の領土となったからだ。
「おーい、何話してんだよ」
Eなエクセレントガール・ビゼとAなエンジェルガール・シズカが来る。
「エンジェルちゃん!!!」
ワイはエンジェルちゃんにゾッコンだった。まぁ、振り向いてくれねーんだけど。
「その呼び方、辞めてくれる?」
「いやぁ、マジで天使っスわぁ」
殴られるワイ。
「その役目、アシトにお願いするよ」
マタタキは苦笑していた。
城内の司会が仕切り始めた。
「えー、これより。ムジーク王国騎士団、騎士団長よりご挨拶があります」
よっ!団長!頼むぜ!
なんて、そんな言葉が兵士たちから飛び交う。
登壇する団長。
「こんばんわ。新しく騎士団長を務めさせて頂いている・・・レオナルドです」
そこからレオナルドは当たり障りのないことを語り出した。
「いやぁ、レオナルドさんの訓練は楽で良いっスよねぇ〜」
「アシト。今は団長の声に耳を傾けろ」
「あの人さぁ〜、なーんか、フレデリックに似てるよな〜」
汚い食べ方で魚を頬張るビゼが言う。
「うん。でも、格好がつくところはあの人とは違うよ」
エンジェルガールちゃんがそれに返す。
・・・俺たちが必死になって取り戻そうとしたこの騎士団は、いつの間にかひとつの国を巻き込んで復活した。
ただ、その騎士団長の座に・・・あの人はいない。
「・・・亡き友の為、そして、二度とこの様な事を起こさぬよう、戦う為ではなく、守る為に、この騎士団を強くしていきたいと思う。以上だ」
沸き起こる拍手。
・・・亡き友の為・・・ね。
「おい。勝手に殺すなよアシト」
酒を飲まずに我慢しているフレデリックが怖い顔をしている。
「えっ!?心の中を読まないでくださいよ」
「いいかアシト。英雄は察しが良いんだよ」




