43話 走り出す大男
《グラフィカ帝国ー自然都市テコン》
「・・・と、止まった?」
アタイがナイフを投げながら罠を作り上げようとしていた時。アタイの敵の爪男は、棒立ちの姿になった。
「おい!お前!ふざけているのか?」
「停止。停止だ。動かない。敵を攻撃してはならない、魔法を使ってはならない、と命令が来た」
・・・え?よく分からない。
「正体。俺とディエゴの正体は死兵だ。他の雑魚とは違う。選ばれし蘇生者。でも、命令は受ける。それが
死兵」
「よくわかんねーけど、アタイらの勝ち、って事で良いのか?」
振り向くアタイ。
同じ様に、棒立ちになったディエゴと呼ばれた男に、レオナルドは何度も斬撃を加えている。
「ディエゴ!お前が復活する体で良かったよ!仲間達の!この街の受けた傷の分だけ、何度でもお前を斬る!!!」
動かない敵をなんども、何度も斬りかかるレオナルド。怒りに身を任せている。
「こんな国!滅んでしまえば良いんだ!」
アタイは見ていられなくて、レオナルドの元へ走り出した。
「レオナルド!!!!」
「なんだ小娘」
「コイツら、ゾンビ兵士で、どうやらその動きが止まっているらしい!もう戦ったって無駄だ・・・」
「なるほど・・・」
そう行った瞬間、レオナルドは大きく息を吸い込み、目にも留まらぬ速さで、走っていく・・・その大きくそびえ立つ塔へ向かって。
アタイも馬を使って、追いかける。
「おおおい!レオナルド!!どうするつもりなんだよ!!!」
「革命を起こす!革命だ!皇帝の首を取る!」
「随分と殺気だってるな!」
「もうこれ以上!この国を・・・我が故郷テコンが傷つくのを見てはいられない。やるんだ!私が!邪魔をするなよ!!!」
そうやって少しの時間をかけて、要塞都市に到着した。そしてその意味不明な光景を、アタイとレオナルドは目撃する。
「フレデリック・・・どんな、状態なんだよそれは・・・」
「まぁな、英雄ってのは、色々な計算のもと、戦う算段をしているわけだ」
えっへん、という、顔をしているフレデリックの右腕は血だらけ。その右手と左手で、白髪の男を掴んだまま、壁にくっついている。
いや・・・あれは・・・
「ざまぁねえな!フレデリック!」
アタイは爆笑した。絶対壊れることのないとドクタートキタビが豪語していた、そのバイリンガルブラジャーが塔の構造上の突起物に引っかかり、いわば磔の刑みたいな感じになったいたのだ。
「マタタキの願いを思い出したんだよ。コイツには、血を流させないって」
どうやらフレデリックが掴んでいるのが皇帝みたいだ。
最後の力を振り絞るように、フレデリックは身体を動かし、皇帝をお姫様抱っこしたまま、2階はあるであろう、高さから飛び降りた。
ずん、と、地面が揺れる。
「皇帝。認めろ。お前の負けだ。マタタキの言った通りだ。国をよこせ。この国は我々ムジーク王国のものになる!」
「・・・負けたよ。フレデリック・ショパニよ。貴様の生命力・・・度胸にな」
「よし!それじゃあ、一件落着って事で・・・」
その時、レオナルドが前に出る。
「フレデリック・・・お前、やっぱり英雄だな・・・」
「レオナルド!すげーだろ、俺。あとさ、申し訳ねーけど、この国乗っ取ったから」
「・・・構わない。構わないが・・・」
「なんだよ?」
「ブリゲル皇帝はどうするつもりだ?」
「う〜ん・・・無期懲役の禁錮だろうなぁ。マタタキが殺すのを許さないし」
「フレデリック。その男の身柄を渡せ。お前にはこの男のやってきた事は分からないだろうが・・・この男は手を下すべき人間だ」
「おい。平和を目指してんだ俺は。もうそんな事出来ねーよ」
「渡せ」
「出来ない」
「・・・そこにある剣を抜け。我が友よ」
レオナルドは地面に刺さっている金色の剣を指さした。
「やるって言うのかよ?」
「剣と剣で。文字通り真剣勝負。国の事はムジーク王国になる事は構わない。ただ、この男だけは斬らなければならない。亡くなっていった者達の為に・・・」
ざっ、っと剣を抜くフレデリック。
街を奪われた悲しみに戦う戦士レオナルド。
もうこれ以上は血を流さまいと戦う戦士フレデリック。
両者の剣が衝突する。




