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その座を奪われた主人公   作者: 大野春
第五章 過去の過ち
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42話 ふたつの魔法


ー回想ーーー


べバールの塔へ突入する前。

僕とカルバヤシとアシトで、その答え合わせをしていた。



「カルバヤシ。君たちの国の・・・その死者の蘇り・・・これは僕の憶測だけれど・・・魔法は2つあるね?」


僕は仮説を語り始める。


死者を蘇らせる魔法がある、という事。

そして、死者に指令を与える魔法がある、という事。


「そうだ。死者を生き返らせる魔法、リザレクション。そして、死者に命令を下すインストラクション」


カルバヤシは語り始める。

死兵というのは、死者をまず、リザレクションという魔法でゾンビ兵・・・死兵として生き返らせるという事。そして、インストラクションという魔法で命令を下すということ。命令を受ければ、死兵はその命令の為に動き始める。


「魔法が阻止される事は想定外だったが、なるべく結晶の消費を抑える為に、魔法は常時発動するものではなく、都度発動する仕組みになっている」


僕は疑問だった。

シズカが叫んでも、死兵は、動き、戦っていたからだ。彼らはシズカのチート能力を受けても、既に下された命令のために動き続ける事が出来た。そういう事だったんだ。



「じゃあ、アンタがその魔法を使って指示を出してたって事か?」

アシトが言う。

「そうだ。権限を持つ者だけ・・・それは俺っち達、皇帝と皇帝に仕える3人だけが許されている事」

「で、でもよぉ、だとしたら、どうして最初の30体の進軍の時に、アンタ含めて、指示を出す奴がいなかったんだよ?」

アシトの質問については、僕が答える。



「遠隔での指示が可能だからだよ」



「遠隔?何すか?それ?」



「アシト。空を見上げてみろ」


言われた通りに空を見上げているアシト。

僕も上を向く。



「空と雲と塔しかみえねぇっス」



「この塔が・・・司令塔なんだよ。死兵に命令を与えるための」



「よく分かったね」

御名答、とカルバヤシは何故か笑っていた。

急ピッチで建てられた、このべバールの塔は・・・

死兵を効率的に、遠隔地から操作するための塔。


僕はドクタートキタビが作成に失敗した無線機を思い出していた。ラジオ・・・僕たちのいた世界にはラジオがあって、ラジオの電波を発信する為の高い塔がたくさんあった。



「この塔のテッペンに、力の結晶がある。それが作用しているんだ。そこから届く範囲にいる死兵には、その力を・・・指示を与える事が出来るのさ」



「塔の入り口の奴らの見張りも死兵だ。俺っちが何も動かない様に指示を出しておいた。国の事は、ふたりに任せるよ。俺っちは・・・死兵の全停止の命令をかけ、そして、その結晶自体の作動をやめさせる」



「もう、血を流さない様に、頑張ろう!みんな!」



僕達は、そうやって、塔の内部へ向かう。



ー回想おわりーー



《べバールの塔 上部》


僕とアシトは、フッさんが開けて、フッさんが道連れに落ちていった穴から下を覗いていた。


「や、やべぇ!団長が!」

「慌てるなアシト。きっと、フッさんには考えがあるはずだ」

「考え?だってあの人、魔法もチートも使えねーんすよ!?」


どんどん小さくなっていく2人の姿。

塔の壁スレスレの所で小競り合い、フッさんは刺さっていた剣を抜いて・・・捨てた!?


「いや、何かあるはず・・・いや、何も考えていないのか?」


「え・・・団長、もしかして、自分が皇帝を道連れに死んでから、復活しようとか、そんな事考えて無いっスか?」


「たしかにフッさんなら・・・名案思いついた!みたいなノリでそんな事思ってるかも・・・」


今、まさに、この魔法は辞めにしよう。

そういう事をやっているのに。



その時、天辺からカルバヤシが戻ってきた。



「2人とも!死兵の動きはストップさせたよ!」



「カルバヤシ!今はそれどころじゃ無いんだ!あの2人!道連れで、この塔から落ちた!」

「あの2人???」

「僕たちの仲間と、皇帝だ」


浮遊しながら下を見るカルバヤシ。


「ここからじゃもう、追いつけないよ・・・それに、俺っちが出来るのは自分の体重の増減・・・あの2人を軽くして助けたりなんか・・・できない」



今度こそ・・・絶対絶滅・・・なのか?





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