41話 英雄の解決法
ブリゲル皇帝。
アンタの事はよくわかった。
この男の戦い方は、打撃や斬撃を受け流す反射神経を極めた護身術を持っている。
故に、ある意味無敵。もちろん銃撃や魔法を喰らえばそれまでだが、今の俺の殴り、蹴りではダメージを与える事は出来ない。
ましてやこの身体能力・・・何歳だか知らねーが、現役だ。このジジイ。
なんとか、動きを止める方法・・・それを考えねーと。
「不貞団長ォッ!ワイとマタタキさん!3人で捕まえましょうや!」
俺はその言葉を無視する。
アシトは、それを理解した。
これは1対1の戦い。
卑怯な手は使わない。
チートを使わないもの同士の、ガチの戦い。
改めて、ブリゲル皇帝の姿を見る。
身長はこの俺と同じぐらい。脇を締めて剣を持っている。白髪と白髭が生えていて、年齢はよー分からん。
打撃や斬撃を受け流すファイトスタイル。今持っている剣は金色でその硬さや軽さは未知数だ。
魔法を使ってくる気配はないが・・・
さて、そんな観察も間も無く、目の前の敵が動き出す。足も軽やかだ。その金の刃先が輝き、閃光のような光が向かってくる。
出来れば剣で受けたかったが・・・格好つけて武器を使わずに戦う事になっている。
しゅん!
剣を避ける。その途端、また、拳が飛んでくる。皇帝は剣だけの攻撃をしない。今度は避ける。
その攻撃が繰り返される。
一歩一歩・・・退いている。英雄らしく無いぞ!俺!
狭い部屋の中・・・気がつくと逃げ場が無くなっていた。俺の後ろは、先程俺がぶち破って来た穴の空いた壁。これ以上避けたらこの高い塔から転落しちまう。
「さて、どうする?お前も戦士なのだろう。それも手練れの・・・また、2つやろう。選択肢」
問いかける皇帝。
「またか・・・」
「ひとつめ。戦士として、負けを認めろ。武器を持たせての再戦など温いことは認めない。負けだ。潔く。手を打とう。それで・・・今回は引き分けにしてやる・・・ふたつめ。戦士として、負けを認めずに死ね」
英雄は判断が早い。
俺は答える。
「戦って引き分ける」
「意味が分からんな。死ね」
そう言い放った瞬間、防御姿勢を取った俺の身体に金の刃が刺さる。
・・・今だ!
殴打も斬撃も避けられるなら、俺はコイツを掴む!
剣の刺さった右手は使い物にならない!
左手の!左手の握力でブリゲル皇帝を掴み、そして、
引きずる様に・・・
「フッさん!!!」
「団長ォッ!!!」
皇帝を掴んだまま、俺は塔から落ちていた。
道連れ、という奴だ。
ボボボボボ・・・
耳をつんざくような、空気の音。
落下している。すげー高いところから。
皇帝を掴んだまま・・・
「離せ!!!このままだと2人とも死ぬぞ!」
「死ねば英雄だ!」
そうだ。託すんだ・・・
「剣がある!剣を塔に刺すんだ!そうすれば助かる!」
「まだ助かろうとしているのか!クソ皇帝め!」
こうなりゃ、ヤケだぜ!
俺はその力を振り絞り、空中で競り合って、自分に刺さっていたその剣を奪い取り、投げる。
「何をやっている!!!!」
「そうだな!2人とも死ぬ!そして!魔法で生き返らせて貰えば良いじゃねーか!」
そう!
これが英雄フレデリックの解決法!
圧倒的閃き!
皇帝を道連れにする!
そして俺はコイツらが開発した禁忌魔法とやらで生き返るのだ!
近づく地面。
「何を言ってるのだバカ者め!死兵には限りがある!完全な蘇生など不可能だ!!!」
「えっ!?今、なんて?」
「何を言ってるのだバカ者め!死兵には限りがある!完全な蘇生など不可能だ!!!」
えっ?
そして、大きな衝突音。




