40話 騎士団長の意地
「おい!お前ら!ここからは俺のターンだ!見とけ!騎士団長の意地!」
俺はマタタキとアシトに言いつける。元騎士団長命令だ。はぁ、約10話ぶりの登場。いいか、俺が主人公。フレデリック・ショパニだ。お前らにその座を奪われてたまるか。
・・・と、いいつつ、状況はよく分からん。
撃たれて、意識戻って、シズカに聞けば、お前らが塔に向かったって言うから、塔を目指す事にした。俺は色々思い出した。前回同様、主人総補正ってやつで力を百倍にして走って、途中、話を思い出して、狂戦士薬と呼ばれるのが混ざった酒をイッキした。
そしてガムシャラにこの塔の階段を登りまくって、突き破って登場した!
英雄は到着は遅い!でも、壁をぶち破った瞬間、その一瞬の光景で分かった。マタタキがアシトを庇おうとしていること。それは緊急事態だ。
何も考えずに俺は皇帝に突進したんだ。どうだ?
英雄は判断が早いんだよ!
「おい!マタタキ!どうする!?」
「フッさん!戦争を無くす方法を考えたんだ!この国をムジーク王国にする!」
マタタキが想いもよらぬ言葉を出した。でもコイツの言う事は一理ある。ってゆーか、戦争ってそんなもんだけど・・・
「コイツを殺るって事でいいな!?」
「そうじゃないんだ!この人と交渉をしている!国か、命か、もしくは、国を与えるなら命を保障するか!?」
・・・ん?何言ってんだコイツ?
「マタタキ!分からん!」
その瞬間、金色に輝く、閃光が顔の数センチ前で横切った。ブリゲル皇帝の剣だ。
「さすが、ムジーク王国の騎士団長。お前も見込みはあるようだな」
「黙れ皇帝。戦いに言葉はいらない」
俺は撃ち抜かれた背中と胸の痛みを堪えながら、いつも通りに構える。ブリゲル皇帝の力は未知数だが、マタタキが苦戦していたとしたら、それは強いって事かもしれない。
・・・で、たぶんだけど。
「マタタキ!こいつを殺さなきゃいいって事だろ!?」
「違う!フッさん!もう!血を流させないで!」
えっ!?ええっ・・・
血、血を流させるな!?そりゃあ、斬るなって事!?
手負の状態の俺が、この激つよそうな男相手に、血を流さずにねじ伏せる!?
無、無理すぎる!
・・・なーんてな。
諦めることなんてしない。
何故なら俺は英雄だからな。
「っしゃあ!やってやるぜ!」
久しぶりの登場、そして、酒の力も相まって、俺は興奮していた。そして、剣を捨てる。・・・ガラン。
「私も舐められたものだな」
「そうだな。舐めてかかっている」
拳と脚でやってやるぜ。
ブリゲル皇帝の黄金の剣は素早い。これ、切れ味どうなんだ?いや、喰らいたくねーけど・・・
俺はその輝きを避け、左足を軸に、鞭をイメージして右足をしなやかに動かした。その打撃がブリゲル皇帝の腹部を捕らえた・・・が。
その、蹴りの方向にうまく体をずらしている。
なんだこれ・・・蹴った感覚が無い。
・・・あれ、この感覚。
どこかで・・・誰かと戦った時・・・
いつだろう。いつだっけ。
最近じゃ無い。
その蹴りが不発に終わった瞬間、今度は剣ではなく、ブリゲル皇帝の拳が俺の腹を直撃する。受け身を取りながらも、その身体は揺さぶられる。
ゔっ・・・
「はぁ・・・はぁ。なんて戦い方なんだよアンタ」
「戦いに言葉は不要なんじゃないのか?」
「おもわず声に出てしまうよ」
「私の父は兵士だった。父は戦争で死んだ。お前たちの国・・・ムジーク王国の兵士にな。戦争とはそういうものだ。だがな、私は許せないのだ。お前達のことがない。時を経て、父の残した書物を元にこの戦い方を学んで、実力でのし上がった」
謎が解けた。
「・・・アンタの父は、強かったよ」
「何を言ってる」
「いいや、良い。やっぱり、戦いに言葉はいらない」
俺は思い出していた。
俺は訳あって50年近く未来の今にいるが、元兵士だ。
この戦い方・・・覚えている。
かの、ソーレント戦役。
その時だ。




