37話 叫ぶ貧乳
私のせいで・・・
フレデリックさんが・・・撃たれた・・・
落ち着いて・・・私。
私は、貧乳。異世界からの転生者。名前は西蓮静香。
今、ここは、グラフィカ帝国という国の・・・
自然都市テコンという場所で・・・
今この場所は、建物が壊され、人々は逃げ惑い、ある人は倒れ、血を流している。
遠くには3つの集まりがある。
互いに干渉しない様にしている・・・
マタタキと浮遊男は会話を続けたまま。
アシトは爪を持った男と探り合いの戦いをしている。
そしてその横には・・・倒れたフレデリックさん。
そして最後の集団には、血だらけの魔法使い・・・
そしてなんだかフレデリックさんに似た大男・・・そして私の親友、ビゼがいた。
魔法使いは、たしかにフレデリックさんに切られたはずなのに・・・生き返った?
そして私はフレデリックさんの指示に従って、チートの発動をやめた。その時、その動向を追っているうちに、魔法使いは復活していて・・・
私のチートが発動していないうちに、魔法を使われた。
私に今出来ること・・・
叫ぶ事しか出来ない。
私は叫ぶ。
私の力は、私が叫んでいる間だけ、その音の届く範囲を無音にするということ。
これによって魔法は発動不可能になる。
私に出来ることはこれだけだ。
私は他のみんなを見てみる。
アシトは相手の爪を避けながら、楽しむ様に、運動をする様に戦っていた。あの子は武器を使っていない。それでも、果敢に攻めている。拳で、相手の顔を捉えるが、相手も上手だ。身体をうまく翻し、反撃する。
実力が拮抗しているのだろうか。
大男は、何度も何度も、その魔法使いに斬りかかっていた。それは恨みを晴らす様な、そんな斬り方。力任せに・・・それでも、魔法使いは身体が別れた瞬間にすぐ結合していた。
魔法なの?チートなの?あれが、死者を復活させる魔法???私は非現実的なこの世界で見る、非現実的なこの状況に追いつけない。
あ、ああ・・・フレデリックさんを、なんとかしないと。ビゼが倒れたフレデリックを介抱しようとすると、爪男がビゼに襲いかかる。応戦するビゼ。
私だ・・・私が何とかしなくちゃ。
でも、あの人を担ぐなんて無理。
戦いの場所に向かうなんて無理。
私は叫んで、魔法の発動を無効化させて、援護するしか無い。
その時、目の前に・・・
マタタキがいた。対峙していた、浮遊男と一緒に。
マタタキは私のチートを受けない。だから私の叫び声も聞こえている。
「シズカ。もうちょっとだけ、叫んでいられるかな?」
「叫べるだけ叫ぶわよー!!!!」
私は声をあげて返す。
「分かった。この国のために、頑張って。僕たちは、塔へ向かう」
「塔!?」
「馬を借りるよ」
そう言って、マタタキは馬に乗る。
浮遊男は、マタタキの動きに合わせる様にぷかぷかと浮いている。
「アシト!馬に乗れ!」
「マタタキ先輩!?コイツは!?」
「いいから!乗るんだ!」
手を引き、身体を翻し、マタタキの後ろにタイミングよく座るアシト。
塔を目指す・・・?
私は遠くを見る。
大きな塔がある。
っていうか、フレデリックさんを置いて、アシトを連れて行ったら・・・ビゼが応戦してるけど・・・
でもきっと、何か考えがあるはずだ。
私は、叫ぶしかなかった。
声を枯らすまで。
叫ぶしかなかった。




