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その座を奪われた主人公   作者: 大野春
第四章 ふたつの国
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30話 ふたつの提案



《国境付近でのアシト達の戦い・・・》



《そこからちょっと時が遡る》



《グラフィカ帝国ーべバールの塔》



「もう一度問おう」



《最上階》



俺の名前はフレデリック・ショパニ。

俺の活躍は、以下略。


いま、敵国の皇帝さんと話をしている。


皇帝の側近が2名。

ひとりはディエゴと言って、スプレ自警団を使ってアンダーコロッセオを運用していた張本人。

もうひとりはサンドロ。名前以外の情報は分からない。


ブリゲル皇帝が信頼を置く、側近が2人いる。


俺は武器も持たず、手錠をかけられている。


この手錠はスプレ自警団が用意したもので、いつでも取り外せる。


俺はチャンスを窺っていた。

戦う、チャンスを。

それはなかなか訪れる気配が無い。



ブリゲル皇帝が俺に問いかけている。



「どちらかを選べ。我々のシモベになるか、ザークを連れてくるか・・・」


皇帝の提案はふたつ。


ひとつは、ありがたい事に俺の功績を讃えてなのか、グラフィカ帝国側につけということ。

もうひとつはザークを連れてこい、という事。


どちらもイエス!とはならない。


俺はこのゴタゴタを解決して、騎士団長の地位を取り戻さなきゃならない。寝返るわけにはいかない。


ザークは過去にとんでもねー過ちを犯しているが、殺す理由はない。



「どちらにも、従う気は無い」



俺はあっさりと答えた。



「ディエゴ」

「はい」


そう言ってディエゴが魔法を唱える。

俺の腕に氷の針が突き刺さる。


痛い!

でもこんな事、声に出してたまるかよ。

心の中でとどめる。


「立場を理解したまえ」

細い目でディエゴが語りかけてくる。


武器さえあれば・・・

この手錠を外して、戦えるのに・・・

いいや、武器があっても、1対3か。


「しかしまぁ、賢いね君は」

ディエゴはそう言って・・・

俺に近づく。


後ろに回り、細工をしていた俺の手錠をあっさりと外した。


「そんな気はしてたんだ。君がつけている手錠があっさりと取れてしまうこと。きっとタイミングを伺っていたんだろう?」


図星だった。


だからこそ俺は無言を貫く。


とりあえず、何がどうあれ・・・バレてしまった。ただ、手錠は外れた。


傷は痛むが俺は両手両足を使う事が出来る。



「君をまだ殺す事は出来ない。交渉のカードだからね」

皇帝が静かに語る。



「皇帝。提案があります」

「なんだ、サンドロ」

「用途。この男の用途。殺してしまいましょう。そして死兵として利用すれば良いじゃないですか」

「なるほど」


俺は身構える。


「理解。理解したまえ。君の立場を。いつでも殺せる。殺せるんだ。悪い事は言わない。2つの選択肢、それらのどちらかに従うんだ」


・・・ん?


俺は命が惜しい。

でも、俺を殺しても殺さなくとも、皇帝からすれば・・・どっちでもいいのでは?


・・・俺は生かされている、ということか。


このフレデリック・ショパニの事を過大評価する訳じゃないが、俺を仲間に入れれば帝国の戦力はアップするだろう。


よっぽど、戦力が・・・欲しいのか?


だって、コイツら、死んだ兵士を扱えるんだよな・・・?




・・・復活させた兵士の扱いには、もしかして制限があるのか?




今はまだ、探る必要がある。




「分かった。二択の条件しかないようだな。だが、俺には決められない。皇帝、選んでくれ」


どちらにしろ、自由になるわけではない気がする。


俺は迷っていたので、判断を委ねる、という判断をした。

英雄だって判断に迷う時があるのだ。



「側近になれ」



「分かった」



「喜びたまえ」とディエゴ。

「祝福。皇帝の側近になれるなどこの上ない喜びだ」とサンドロ。

2人は馬鹿馬鹿しいぐらい俺に拍手をしてきた。


ふん。今すぐじゃなくても・・・今に見てろバカ共。

英雄は虎視眈々とその時を狙うんだ。


仲間入り出来るということはいろんな情報が聞き出せるって事だろ。



・・・皇帝、アンタ・・・選択肢を間違えたぜ。




「では。最初の命令だ。信頼のおける部下、フレデリックよ」


「はい」

俺は膝をついた。


「ディエゴ、サンドロ、そして様子を見に行ったカルバヤシと共に、ムジーク王国に囚われている重要参考人、ザークをこの場所へ連行せよ」




・・・え?




めちゃくちゃ卑怯じゃねーか!クソ皇帝!




高笑いする皇帝。





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