28話 生き返る兵士
空飛び野郎が何やら結晶に向かって呪文を唱えると、結晶から禍々しいオーラみたいなのが飛び出した。
それらはヒュンヒュンと、飛び出し、そして・・・
痛手を追って倒れた自警団の兵士・・・それはおそらく息を引き取った兵士数名の元へ混ざっていく。
そうすると、倒れた兵士は目を赤くして、起き上がった。
「・・・おい、これって・・・」
「そうさ。これが禁忌魔法・・・リザレクション」
生き返る兵士達。
「やれ!お前ら!」
「・・・」
「イクぞ!」
・・・ん?
その指示から少しの時間をおいて、ゾンビ兵たちが動き出した。遅っ!
ゾンビ兵士と化した奴らがレオナルドに襲いかかる。
「お前ら!やめろ!」
剛腕で仲間を薙ぎ払うレオナルド。
見てられねーっす。
悪趣味すぎ。
「死兵達よ!団長は狙わなくて良い!弱っている他の兵士を殺せ!仲間を増やすぞ!」
「・・・」
「コロセぇっ!」
・・・指示もらってから動き出すの遅っ!
その命令に従い出すゾンビ兵達は、深傷を負っている他の自警団のメンバーを目掛けて攻撃を開始する。追い討ちをかける様に鉄球を飛ばしまくる空飛び野郎。
「ちくしょぉ!」ワイはレオナルドに申し訳ないが、ゾンビ兵士を蹴り飛ばす。
「動ける者は隊員を抱えて退避するんだ!」
ワイとレオナルドはゾンビ兵の相手で手一杯だった。
・・・その時。
レオナルドが仲間を庇おうとした時。
それはワイの目にスローに映る。
ゾンビ兵士の斬撃を弾くレオナルド。
その瞬間、彼の胸に・・・弾丸みたいな鉄球が直撃して、貫いて、血が吹き出した。
「ゔっ」
鈍い声を出し、膝を崩すレオナルド。
「君の力は素晴らしい!さぁ!楽になれ!レオナルド!死兵として帝国に貢献しなさい!」
空飛び野郎が近寄り、結晶を取り出す。
ヤベェっす!このままじゃ!
また鉄球を喰らっちまったら!
ワイはゾンビ兵を蹴り飛ばし、レオナルドの元へ走り出す。
目測で10秒はかかる。
あいつの鉄球なんてすぐに発動しちまう!
レオナルドに向かって走り出すワイ。
残り9秒。
その時、背後から・・・ナイフが飛んでくる。
ワイの足の速さなんて比にならないスピードで。
ヒュン!と空を切り、それは空飛び野郎を目掛けて飛んでいく。
しかし、空飛び野郎はそれを難なく避けるように、上空へ飛ぶ。
次に2本目のナイフが飛んできた。
どういう事だこりゃ!?
!?
微かに・・・聞こえるッス・・・
2本目のナイフはめちゃくちゃな方向へ飛んでいく。
それを確認する空飛び野郎。
その間もなく、3本目のナイフが飛んでくる。
ヒュッ!それもめちゃくちゃなとこへ飛んでいく。
「誰だ!お前ら!」
上空から、遠くの誰かに向けて語りかける空飛び野郎。
援軍だ!
「まぁいい。すぐにこの男を殺す!」
再び呪文を唱えようとする空飛び野郎の顔が強張る。
き、聞こえる。
さっきより、明確に。
「うああああああああっ!!!」
エンジェル先輩!
Aカップのエンジェル先輩が叫んでいる!
よくわかんねーっすけど!
エンジェル先輩が叫んでいる!
「どういう事だ・・・これは!?」
何かに焦っている空飛び野郎。
あれ、魔法を使えていない。
ワイは野郎を睨みながら、チラッと振り返る。
少し遠くから、人影が見える。
・・・馬に乗ったマタタキ先輩だ!
「ええい!残りの死兵共!なんでもいい!殺れぇっ!」
空飛び野郎が焦りだしている。
ゾンビ兵は少しの間を置いて、無秩序に動き出した。
走り続けたワイはレオナルドの元へ到着する。
「おい!大丈夫か!?」
「ああ。危ういところだったが、もう大丈夫だ」
襲いかかるゾンビ兵をワイは丁寧にパンチで薙ぎ倒す。それでも復活し、襲いかかってくるが、余裕なわけで。
その間も、空飛び野郎は上空からワイらを見ている。
「アシトぉ!!!!!」
マタタキ先輩が近くまで来た。柄にもなく、叫びながら。
振り向くワイ。
シズカとビゼ・・・そして5人いるかいないかの兵士達!
「マタタキ先輩!」
ワイは確信する。
そして、安心する。
これが逆転ってヤツだ・・・
「や、ヤバい、失態だ、どうしよう、どうしよう」
空飛び野郎が地上へ降り、直ぐに強く地面を蹴り、空を飛びながら逃げようとする。
「アタイの出番だな!」
ビゼがナイフを投げる。そのナイフは飛ぶ鳥を落とす勢いで飛んでいき、空を飛ぶ野郎の近くへ飛んでいく・・・しかし、命中はしない。
その瞬間、ビゼは最初に飛んで、落ちた1本目のナイフを拾い上げる。
その瞬間、宙に綺麗な線・・・テグス!?
1本目と4本目のナイフが繋がっていたわけで、そのテグスに力がかかり、4本目のナイフが軌道を変える。
それが、空飛び野郎の足に命中した。
「惜しいッ!」
しかし、そのナイフを空飛び野郎が抜き、野郎はそのまま遠くへと逃げていった。




