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その座を奪われた主人公   作者: 大野春
第三章 開戦の合図
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24話 掘削の訓練




《グラフィカ帝国ー国境付近ー平原》



国境へと向かう道伝いの、少しだけ丘になっている場所。背の高い草がたくさん生えていて、ワイらはそこに身を潜めていた。



汗が噴き出して、脱水症状で倒れそうだ。

ワイは疲れきった泥だらけの身体で、その時を待つ。


「来ました!」と報告が入る。


少し遠い目線の先に、やっと追いついてきたゾンビ兵達がのそのそ歩いてきた。




「いけるか?」

ワイは天運に任せるしかなかった。

「アシト・・・これがダメなら、諦めてくれ」

レオナルドが言う。

「分かってるッス・・・」



ゾンビ兵がある位置を通りかかった瞬間。

長方形の綺麗な隊列は、木々が割れる音と共に消えた。



地面は崩れ、30のゾンビ兵は落とし穴に落ちた。



「や!やったぞ!!!!」


ワイらは歓喜する。

戦わない戦い方。

単純な落とし穴作戦。

成功!




ー回想ーーーー




ワイは足りない頭で考えていた。

不貞行為の騎士団長・・・フレデリックさんは、いつだってワイらを実戦の為の兵士として育て上げていた。


ー〝戦争ってのは、人対人の強さ・・・そして必ずしも数の強さで勝敗が決まるわけじゃない。〟


鼻くそをほじりながら聞いていた、団長の退屈な講義。


信じているのはマタタキ先輩ぐらいなんだが、フレデリックさんってのは60年ぐらい前の戦争を体験しているらしい。

そのカラクリはよく分からないが、不貞団長はとにかく、戦いを知っていた。



ー〝今日は掘削訓練をするぞ〟ー



思い出した。ワイは武器を持たない。

拳で戦う主義だった。


その日はただ土を掘るという地味な作業の練習で、スコップを持った。

だから覚えていたんだ。



穴を掘る、という事を。



さらに、自然都市テコンに到着した時、フレデリックさんは言っていた。


土が柔らかく、植物が育ちやすいのだな・・・と。



そんな言葉をどうしてちゃんと聞いてたか、分からねーっスけど、覚えていたわけで。


掘りやすい土である、という事を。



そうすればもう、罠を作るしか無いわけで。



ワイはゾンビ兵達との戦いを思い出していた。


アイツらはスピードが無い。そして、スピードを補う為に遠距離攻撃を仕掛けてくる。


そればっかり考えていたわけだが・・・

アイツら、のそのそ歩くだけで、ジャンプをしていなかった。


槍、弓、魔法。

これらは距離を稼ぐためのものではなく、高さを稼ぐ理由もあったんだ。


そう、多分だけど、ジャンプができない。

だから道伝いに沿って進軍するしか出来ない。


なら尚更、穴に入れちまえばいいわけで。



ー〝レオナルドさん!穴を掘りたいっス!穴を掘るだけなら、スプレ自警団の皆さんは別にゾンビ兵と戦うって事にはならないっスよね?〟ー



ワイはレオナルドさんにそう言うと、屁理屈だな、なんて言われたが、結果的に協力して貰えたワケで。



こうしてワイらはのそのそ歩くゾンビ兵よりも先回りして、数の力と柔らかい土壌を利用し、素早く穴を掘り、罠を仕掛けたわけだ。



ー回想おわりー



穴からそのゾンビ兵達を見てみる。

なんておっかねー姿だ。

穴に落ちてもなお、ムジーク王国に向けて、ズカズカと歩いてやがる。

予想通り、奴らは高さに自由がないので、穴ぼこにハマったまま、行進して進んでいない。


進めないってわかったら、普通止まればいいのに・・・

ゾンビ兵ってのはバカなのか?



「・・・アシト。この者たちをどうするつもりだ?」

「とりあえず放置じゃないっスか?生き埋めにするワケにもいかねーし」

「そうだな・・・我々も、街に戻る事にするか」



とりあえず、一件落着ってところか?




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