22話 都合の良い人数
《ムジーク王国ー南西部ー関門》
《国境付近》
「ムジーク王国、騎士団、二等マタタキだ!」
僕は関門に着く。
そして現地の兵士に自己紹介をした。
僕達の騎士団は上から順に一等、二等・・・分かりやすくしようというフッさんの提案だ。
フッさんは、一等。僕は二等だ。因みにアシトは四等兵。強いのに・・・
「マタタキさん!」
「敵襲の情報弾が飛んだようだが・・・」
関門周辺は何も変化がない。
「これを・・・」
兵士は僕に通達書を渡してきた。それはグラフィカ帝国によるものであった。
ー〝貴国へ進軍を行う。容赦なく攻撃を行う。我々は貴国に囚われている我が友ザークの解放を求める〟ー
「ザーク・・・」
「二等マタタキ様、監視兵によりますと既に30程度の兵が進軍しているとのことです」
30?進軍するには少ない・・・
「分かった」
「我々は国からの折り返しの伝達を待ち、行動を行います」
「了解した。僕はこの通達を国王へ届けに行く。頼んだぞ」
再びカタスカさんの馬車に乗る僕。
シズカとビゼもいる。
「非常事態だ」
僕はふたりに説明する。
グラフィカ帝国が僕たちの国を攻めようとしていること。
それを止める条件はザークの解放であるということ。
僕は情報弾では伝わらない詳細を説明する為に、グラフィカ帝国からの通達書を持って城に戻らないといけないこと。
そして、そもそもこの状況では、僕たちの越境の計画は意味を成さないという事。
「なぁ、フレデリックやアシトはどーなってるんだよ?」
ビゼは心配している。
僕も同じ気持ちだ。
「分からない。でも、きっと大丈夫」
それしか言えなかった。
「マタタキ、城に戻るの?」とシズカ。
「うん。少しでも早く戻らなくちゃならない」
「私たち、どうしよう」
「どうにかして、フッさんやアシトが戻ってくる可能性もある。2人はハモニク村で待機して」
僕がシズカとビゼに指示を出すと、シズカの顔が綻んだ。
「マタタキ・・・あんたなーんか生意気ね」
「自分でも信じられないんだけど・・・騎士団は、一応解散はしてるけど・・・」
フッさんがいない今・・・
「指揮権は僕にあるんだ」
ひゅーひゅー、と煽るシズカとビゼを無視する。
僕はブラジャーをつけたまま、王都ピアノを目指した。このブラジャーは絶対に破れないとトキタビが豪語していたのを思い出す。
ーーーー
《地方都市リバンタン》
最初に馬車で到着した場所で僕は兵士をかき集めた。
「これは演習でも何でもない。ムジーク王国の人間として、戦ってくれ」
僕は現在わかりうる状況だけを分かりやすく、兵士達に説明する。
「ほ、本当に戦争が起きるんですか?」
「敵の詳細は?」
「どうして、唐突過ぎる」
「すぐに進軍するんですか?国境付近まで?」
「俺は家族と非難するぜ!」
「俺もだ!あんな不埒な騎士団長の指示なんて従えるかよ!」
士気は乱れていた。
ただでさえ、フッさんの一件があるというのに、元々地方の兵士達は戦う気力というものが少ない。
でも、僕はそれを否定できない。
僕のいた世界は、戦争なんか程遠くて・・・
戦争なんて絶対にダメ、って教わってきた。
ここは僕にとって、異世界、なんだけれど、世界がどうであれ、本来武器なんか持っちゃいけないし・・・
傷つけあっちゃ、ダメなんだ。
僕は自分の立ち位置の矛盾を感じていた。
兵士たちを前線に立たせ、僕は伝達があるからと王都へ戻る・・・
そんな奴に皆んなが付いてくるわけがない。
フッさんなら・・・
「・・・僕も前線に立つ。僕について来れる者は、僕と国境付近へ向かってくれ。そして、ついて来れない者・・・それでも勇気あるものは、この通達書を王都へ最速で持っていってくれ」
そうだ。
僕はグロ耐性が無いし、人を切れない。
でも、フッさんから色々教わっている。
人を守る術はあるはずだ。
「二等マタタキさん!俺、やりますよ!」
「う、うおおおお!」
「俺は最初から行くつもりだっ!」
1名の兵士を伝達役として、士気のある兵士達が僕について来てくれる事になった。
その数、6名。
す、少ない!
いや、少ないほうが都合がいい。
全員守らなきゃならないから。




