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その座を奪われた主人公   作者: 大野春
第二章 自警団の大男
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18話 理由を知る元騎士団長



《グラフィカ帝国ー要塞都市デッサン》



《第一区・帝都ヨンレク》



《地下独房》




「君にはしばらく、ここにいてもらうよ」

ディエゴは俺を蹴飛ばし、牢獄に入れた。


自分の状況を確認する。

脚は氷の針が刺さった後から上手く動かせず、ずっと痛む。

左腕は炎症が酷く、ただれていた。右手と左手は手錠で繋がれている。


・・・この手錠は、じつは取り外せるようになっている。これは、事前にレオナルドに仕掛けてもらったものだ。


外すタイミングが重要なので、俺はすぐにそれをしない。


そのままディエゴが去る。

地下の独房は見張り兵が3人おり、薄暗い建物内は火が灯されていた。

とにかく・・・身体中が痛む。




「・・・新入りか?」




薄暗い視界に慣れてきた時。

その声が向かいの牢屋にいる人間の者である事に気付いた。

声は若い。男の声だ。


「囚人03!私語を慎め!」

兵士がその男を注意する。囚人03と呼ばれていた。03ってコトは・・・02と01がいるのか?


「新入りィ・・・兵士達こいつらの事は気にしなくていい。奴らは権限がなければ俺たちには何も出来ない。ただの見張りだよ」


「そうか」

俺は返す。


「どうしてここにきた」

「俺は隣の国の人間でな。外交に使われるらしい。アンタは?」

「異国人か?珍しいな・・・俺はうっかり酒を作るのを忘れちまった醸造家さ」


醸造家・・・?酒を作り忘れた?


「おい!貴様ら!聞こえないのか!私語を慎め!」

兵士の言葉を無視し、会話を続ける俺。



「酒を作り忘れるとこんな場所に投獄されるってのか?」


「ああ。そうだな。今のお国は壮大な計画を練ってるからな。1つのミスも致命的なんだろうよ」


「お前達の国の事はあまりよく知らないが、随分と窮屈なんだな」


「お前もそう思うか?」


「ああ・・・異常だよ」

「この都市の塔も兵士たちをこき使って建てたんだ。皇帝ってのはワガママなもんさ」



レオナルドは、ひとつの街の自警団の人間で、ディエゴに逆らえず、悪業を行なっていた。目の前の囚人もたかだか酒の生産を怠っただけで投獄・・・そして俺は外交の為の人質となった。


「お前達の国は、戦争を起こすつもりなのか?」

俺は質問する。


「さあな。真実ってのは当事者しか分からねーよ。でもな、予想ってのは大体あたる。宜しくない実験もやってるってウワサだぜ」


死者の蘇生か・・・


「一体、何が目的なんだ?今の時代、戦争なんてしなくても、国同士やっていけるだろう」


「俺はこの国の役人でも何でもないけどよ・・・数年前、アンタの国で起きた内乱に手を貸していたのがこの国なのさ」


数年前。ムジーク王国で起きた内乱。

そらは環境問題を憂いた当時の〝ノイズ派〟がテロ行為を行なっていた事。詳しくは前シリーズを参照してほしい。


その主導者・・・旧ノイズ派のリーダー・・・ザーク。


ザークはグラフィカ帝国と手を組み、支援を受け内乱を起こした。


そのザークは今、謀反の罪でムジーク王国の牢屋で禁固刑を受けている。あの男は温情で生かされているだけで、牢屋を出る事はまぁない・・・無期懲役というやつだ。



「内乱・・・たしかにグラフィカ帝国はノイズ派のトップと手を組んでいたとは聞いている」


・・・そもそも、どうしてグラフィカ帝国は俺たちの国を攻めようとしているんだ?


「俺の予想だけどよぉ・・・皇帝はお怒りなんだ。内乱を使って国を最終的に乗っ取ろうとしたが、失敗に終わったからな。今度は自分達で行こうってハラじゃねーの?」



「貴様らぁっ!いい加減にしろ!」

兵士が怒鳴り散らすが、やはり無視して会話をする俺たち。



「なるほどな。1番の理由は怒り、か」

どこの国のトップもそんなもんなのか。笑えるぜ。




「ま、俺たちはどうなるか知らねーけどな。何にも出来ねぇよ。新入りぃ、諦めて寝ろ」


「そうだな・・・」



一旦、醸造家を名乗る男との会話を終える。

おれは牢獄の様子を確認する。



雑多な便所と藁の寝床・・・それ以外は何もない。



脱獄のチャンスを考える。

目隠しされてこの場所に来たのだから、すぐに逃げ出すのは難しい。

そもそもこの檻を抜け出した後、どうなっているのか・・・それすらも分からない。


今出来ること、それはこの目の前の男からこの国の情報を引き出すことだ。



「ところで、アンタ、酒を作ってるとか言ったな。これは余談だが、この国の酒は美味い。水が関係しているのか?」


「おお、お世辞でも有り難いね。俺が作っている酒はキャンパ酒と言ってな。水はもちろんだが・・・薬が混ざっているんだよ」


「薬!?」


「戦士を強くさせる、狂戦士薬・・・その飲酒を促す為の味覚薬・・・」


「ちょっと残念な気もするな・・・」


「用途によって薬は変えている・・・そうだな、お前の国、ムジーク王国に輸出したキャンパ酒は媚薬を混ぜたものもあった・・・」



媚薬・・・?

ん???


エロい気持ちになる、あれ?媚薬?


ちょ、ちょっと待て・・・

数話前にアシトが言ってたよな・・・



ー〝不貞団長、まーたそれ飲んでる〟



ー〝祝祭の日もひとりでガブガブ飲んでましたよ〟



媚薬入りの・・・キャンパ酒を・・・

祝祭の日に俺はガブガブ飲んで・・・


ええっ!?

そういう事!?





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