17話 少し開いた細目
《グラフィカ帝国ー自然都市テコン》
《スプレ自警団の詰所》
自警団は20人ほどいて、帝国の役人が現れると、レオナルドを含めた全員が腰を引くして頭を下げた。
自警団の詰所に役人が現れ、部屋に入る。
その役人の名はディエゴと言う。
初老の男で、常に目を閉じてるように見えるほど、目が細い。
不気味なほどに、装飾をしている。
レオナルド曰く、皇帝には〝選ばれし3人の側近〟がいるらしく、ディエゴはそのうちのひとりだそうだ。
「ごきげんよう。レオナルドくん」
ディエゴは口角を上げて笑いながら第一声を発した。
「ディエゴ様。この度は遠路はるばる・・・足を運んで頂き、ありがとうございます」
「気にしなくて良い。足を動かしたのは雄馬達だからね。ところで、どうかな?今月の収穫は・・・ま、ウワサは聞いているんだけど・・・ね」
ディエゴは指につけた数々の指輪を見ながら、にやけている。
「・・・ディエゴ様・・・申し訳ございません」
「うん。謝罪は良いんだ。結果だけ伝えてもらえるかな?」
「今月の収穫はゼロ・・・そして地下円型闘技場はムジーク王国の目に留まり、運用不能となりました」
「・・・ふむふむ。やっちゃったね。さて、どうしようかな?約束は約束だからねぇ、どこから燃やそうか?」
その細い目は変わらない。
ディエゴはニヤけながら、指輪を触り始めた。
「ディエゴ様・・・我々は闘技場を追い込んだ人間を捜索し、捕らえました」
「ほう。それはそれは」
細い目が少し開く。
彼にとっては想定外の展開だった様だ。
レオナルドが合図をすると、自警団に連れられ、手錠をかけられた俺、登場。
「この男が張本人です。名前はフレデリック・ショパニ。国の騎士団の団長だそうです」
「ふむふむ。これも運命というやつかな?」
ディエゴは俺の顔をマジマジと見ている。俺もディエゴを睨む。見れば見るほど優しそうな顔をしているのに、おっかない奴だ。
「どうか・・・今月はこの男の身柄を渡しますので、なんとか納めていただけませんでしょうか?」
ディエゴに嘆願するレオナルド。
「うんうん。構わないよ。むしろ大きな成果だ。ムジーク王国を強請る為のカードを手に入れることが出来たからね。うん。許そう。今月は、ね。来月、また顔を出すから、その時は分かるよね?もし変わらなかったら・・・」
そう言ってディエゴは指輪に向かって何かを唱え始めた。
・・・その指輪には力の結晶が埋め込まれていた。
「燃やしちゃうからね」
そういって、火球を出現させ、俺に向けて放つ。俺は左腕を焼かれた。
「ゔあぁぁぁぁぁっ!!!!」
思わず声の出てしまう俺。
「うんうん。良いね。君、来てもらうから。要塞に」
俺の身柄が、自警団からディエゴサイドに引き渡される。
狙い通りだった。
レオナルドに話をしたのは、俺を取引の材料に使え、という事だ。レオナルドは俺を使う事で・・・結果的に今月だけだがこの都市を守る事が出来た。
そして俺は俺で、殺されない自信があった。うまく事が運んだ。やはり帝国の〝上〟まで招待されるようだ。敵の本拠地に侵入できる。
ま、武器もないし・・・無防備なんだけど。
きっと何か逃げる策はあるはずだ。
アシトにはマタタキ達の合流があるため、隠れてもらう事にしている。
これで良かったんだ。
レオナルドは都市を守れるし、俺は俺で真相に近づけるかもしれない。
これが俺の思いつきだった。
「さぁ、フレデリックくんと言ったね。一緒に来てもらうよ」
馬車で連行される俺。
「暴れられては困るからね」
そういってディエゴは魔法を唱える。
氷柱のような鋭い氷の針が、俺の両脚を刺した。
・・・耐えろ・・・俺。
「これでもう、逃げられないね」
ディエゴの目は細い。
流石の俺も恐怖を感じていた。
俺、どうしたらいいんだ!?




