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その座を奪われた主人公   作者: 大野春
第二章 自警団の大男
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15話 自警団の大男



運命・・・命運・・・それを手繰り寄せる力の強さを俗にヒキが強い、なんていうが、アシトはまさにその通りだった。

コイツが絡まれたお陰で、さっそくお尋ね者のレオナルドに出会えた訳だからな。


しかしまぁ、レオナルドって男・・・自らをスプレ自警団と名乗ったが・・・


それにしても、直感でわかる。

コイツは強いかもしれない。



「レオナルドさん!こんな奴俺がッ!」

その時、レオナルドは最初に仕掛けてきた男の頭を持ち上げ、机に叩きつけた。その机はそのまま割れ、男の頭は地面に打ち付けられる。

こりゃあ、アシト以上のバケモンだ。


「黙れ。これ以上酒を不味くさせるな」



「どっちでも良いっスよ。早くやりましょうや」

アシトはレオナルドのパフォーマンスに何一つ顔色を変えていない。コイツ、頼もしいな。それともシンプルにバカなのか・・・



「じゃあ、行くぞ」

と言った瞬間、レオナルドが消えた。


バン!と音がした方向を見ると、壁が凹んでいる。



そして、アシトは吹き飛ばされていた。



俺は理解する。一歩目の踏み出しで瞬時に壁に飛び、壁を蹴った反動でアシトの元へ向かったのだ。

その速さにアシトの眼は追いつかなかった。だからチートなんて発動しなかったのだ。いや、出来なかった。


意外にもこの無敵の力の弱点が見えた。


倒れ込むアシト。



「いててて・・・酒飲んでなかったらもっと痛かったっスね・・・」

立ち上がったその顔面は既に血だらけだった。

やっぱりコイツ、タフだな。


「見込みはあるようだな」

レオナルドが息を吸い込み、また筋肉を張る。



なるほど、コイツは筋肉をパンプアップさせ、一時的にその筋力を飛躍的に活躍させるのか・・・それであのスピードを出す・・・


「よし、決めた。この戦い、退かねぇ」

血の混じった唾を吐くアシト。


で、出た!!!!


アシトの謎のこだわり・・・そう語った瞬間、また、壁が凹み、アシトは吹き飛ばされた。


倒れ込むアシト。そして、また立ち上がる。

その姿にレオナルドも少し怯んだ。


「ほぅ。殺るには勿体ない。どうだ?自警団に入らないか?」

そう言いながら息を吸い込み、また筋肉を張るレオナルド。自警団?



流石の俺も剣を手に取る。



「いやぁ〜、これが現世なら俺たちのチームに入れたいくらいっすよ」

などと意味不明な事を言いながら、アシトはよろめきながらも構えた。



「何を言っている」

そういった瞬間、レオナルドがまたしても消える。

そして、またバン、と壁が凹む。

「ダラァっ!」

その瞬間、アシトは低くしゃがんだ。レオナルドはアシトを捉えきれず、そのスピードのまま壁にぶつかる。



「へっへぇ〜、攻略法見つけたっス。それにしても自分で壁に激突だなんて、無様っスね」



そう言いながら、アシトは倒れた。

やっぱり・・・バカで勇敢だ。コイツ。



「自警団に入れ」

体勢を直したレオナルドが倒れたアシトを見下しながら語りかける。

しかし、呼吸をひぃひぃ言わせたまま、アシトはレオナルドを睨みつけるだけだった。



「喧嘩はこれで終わりにしないか」



それは俺からの提案だった。すまん。アシト。



「随分と利口だな」

「俺は弱い奴は嫌いだが、それ以上に仲間が傷付くのは見てられないんだ」

「ほう」



「その喧嘩は終わりだ。次は俺とやれ。筋肉マン」


「買おう」

そう言って息を吸うレオナルド。


しゃあねーな。

俺は剣をテーブルにバシンと叩きつけるように置いた。


「拳でやってやるぜ」



見せてやる。酔っ払いの拳・・・酔拳ってヤツを!





と思った瞬間。俺の視界は逆さまになり、地面に叩きつけられていた。

めちゃくちゃ痛い。


アシト・・・お前こんな攻撃を2回も受けていたのか?



「口ほどにも無いな」



「そうか?」



立ち上がった瞬間、俺は地面をぐっと、蹴り出し、レオナルドの喉に向かってチョップを繰り出した。力こそないが、この男の呼吸を乱した。

パンプアップを阻止する。



「俺は元英雄だ。スピードは俺の専売特許なんだよ」



そう、俺のファイトスタイルはスピードだ。

真似すんな!



「元・・・英雄?」

苦笑するレオナルド。



「そしてお前を探しにきたんだよ!」

喉元を狙おうとした俺をレオナルドがガッチリと掴んだ。両手で、俺の両肩を掴む。



や、やべぇ!めちゃくちゃ痛い!



「答えろ。俺に何の用だ?」



・・・真似てみるか。

類似キャラのコイツにできて、俺に出来ないわけがない!



俺は掴まれた肩の痛みを忘れる為に、呼吸をしてみる。すぅ〜っと。俺の鍛えた筋肉ちゃんをフル動員させるように、パンプアップしてみた。



「お前を倒してからだァッ!」

俺はその血を脚の全てに張り巡らせ、肩が掴まれたままの状態でジャンプする。

素晴らしい跳躍力!



ゴツン!!!!

そしてドゴっ!



酒場の低い天井に、レオナルドの頭が刺さった。



「おい!見たか!アシト!これが俺の力だ!」



レオナルドは天井に頭が刺さったまま宙に浮いていたが、俺の肩を手放さなかった。



俺は俺で宙に浮き、身動きが取れない。



「ぜ、全然格好良くねーッス・・・」



倒れながら笑っているアシト。




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