13話 ふたつの問題
《カタスカとの出会いから5日後》
今日の変装は50点ぐらいだな。
会うことは無いのだろうけど、城内に入るのは緊張する。
王様に見つかっては大変だ。
《ムジーク城ー兵士寮》
「で、なんでお前らがいるんだ?」
この状況を説明するか。
別れた俺たちはそれぞれ聞き込みを行い、定期的にここ、ムジーク城の兵士寮に集まって情報交換をする事に決めていた。
そういうわけで俺は変装し、兵士寮に来たのだが・・・
目の前にいるのは、マタタキ、アシト。
そして
「冷やかしにきたよ」
「なんか、やっちゃったみたいだね」
シズカとビゼがいた。
近距離にいる俺に手を振っている。
「本当にたまたま出会ったンすけど、フレデリックさんと面識あるって言うんで連れてきたッス」
「今は・・・今だけは会いたくなかった」
シズカは相変わらずの姿で、ビゼは髪も伸び、お胸も発達して、大人びていた。う〜ん。あり!
「フレデリックさん、マタタキから聞いたよ?なんかまた凄いことして、国王に再雇用してもらおうとしてるんでしょ?」とシズカ。
「まぁな・・・」
「アタイらが手を貸してやろうって話よ!」
「フッさん、どうだろう?この2人なら信頼出来る」
「マタタキ先輩が信頼するなら、俺も信頼するッスよ!」
俺は迷っていた。
二つ返事で了承したいところだが
女は旅のお荷物になる。
それに、正直・・・
もうこのふたりには、戦ったり・・・
危険な目にはあってほしくない。
「シズカ、ビゼ・・・正直いうとさ、今回は、やめておいて欲しいんだ」
でも、
「アタイら退屈なんだよねー」
なんて言い出すのは分かってた。
「出来る限り、安全な行動をしたい。それを守ってくれ・・・」
ビゼは戦闘能力に長けているが、シズカはチートが使えるだけでズブの素人。
その昔、弓矢の使い方を教えたが、もう持ってすらいない。丸腰だ。
「フレデリックさんが守ってくれるんでしょ?」
ああ、そうか。
俺は英雄。
「よろしく頼む」
英雄は判断が早いのだ。
シズカとビゼを連れていくことにした。
そうして、各々の情報収集の結果を出し合った。
アシトはこの女2人を連れてきた事以外は収穫はない。
マタタキは俺と同じ考えを持っていた。
「グラフィカ帝国・・・そこに秘密があると思うんだ」
マタタキがそう言う。俺もそう思っていた。
レオナルドというお尋ね者も、もしかしたら帝国のどこかにいるのかもしれない。
「ただ、国を越えるにはハードルが2つあるんだ」
マタタキが説明する。
「ひとつは、通行許可証の問題・・・」
そう、当たり前だが、基本的に国を越えるには許可が必要になる。
「僕たちは今、国の協力を得られない立場にあるんだ・・・」
悲しそうにマタタキが言う。
そう、俺のせいで・・・
というわけで俺はカタスカに頼んでいたわけだ!フフン!
「心配するな諸君!もう手を打ってある。俺はとある貿易商と組んでいるんだ。グラフィカ帝国までは、貿易品のフリをして潜入出来る」
「さ!さすがッス!不貞団長!」
アシトは俺のことを〝不貞行為の元騎士団長〟略して〝不貞団長〟と呼んでいた。
やっぱりムカつくなコイツ・・・
「フッさん!?ほんと!?」マタタキは驚いていた。
「ああ・・・いつか溺れているところを助けたカタスカという男を覚えてるか・・・?」
マタタキとシズカは目を見開いた。
「たまたま出会ったんだよ。そしたら、カタスカ、武器商人はやめて貿易商をやってるって言うんだ。そういう訳で頼んでみた」
ま、半ば強制だったけど・・・
作戦は単純、何回かに分けて、二重底の箱の中に入る。貿易品の影に隠れて入国、という単純なものだった。
「それなら、ひとつ目の問題はクリアだね」
マタタキが言う。
「マタタキ先輩、もうひとつの問題って何すか・・・?」
「言葉の問題、だよ」
ああ、そうか。
シンプルな事を忘れていたが・・・
海外に行くのであれば言葉が通じないとまずい・・・
我らがムジーク王国は独自の言語、センフ語で会話している。グラフィカ帝国はまた違う言葉を使っているらしい。
「ま、そんな事もあろうかと・・・僕はある人にお願いをしていたんだ・・・」
すると、タイミングよく扉が開く。
「ええっとお前は・・・」
「みんな、久しぶりだね。俺の名前はドクター・トキタビさ」
あっ!トキタビ!
こいつも異世界からの転生者だ!
こいつのチート能力は、とにかく頭が良くなる〝超脳力〟を持っている事。
前作ではコイツの力がなければ物語は終わらなかったと言っても過言じゃない。
そんな感じのチート能力者。今はその頭の良さを買われて、ドクタートキタビとして発明家として過ごしている。
「聞いてくれ!これは短周波無線機!」
そう言ってトキタビは大きな棒・・・(これはアンテナというらしい)のついた石鹸の様なものを出してきた。
それが2つある。
「ははは!これは俺たちの世界にあった、ラジオの仕組みを利用した通信機だ!」
「通信機!?」
「遠く離れていても、電波が届く範囲で会話が出来るんだ!凄いだろ!ほらっ!」
そう言ってトキタビがそのムセンキとやらのボタンを押す。
ぼっ!
バン!!!!
えっ!?
「あっちゃぁ〜ッ!失敗しちゃったよ!これはナシね!」
ムセンキは呆気なく壊れた。
え?コイツ何しにきたんだ?
「お、おい、トキタビ・・・お前、何しに来たんだよ」
「今のは試作品さ!本物はこっち!」
そう言ってトキタビは箱から何やら取り出し始めた・・・
ん・・・???
「異国に行っても、これさえ身につけていれば会話が出来る!俺のチート能力を少し埋め込んでおいたからねぇ」
そう言ってトキタビはそれを俺たちに見せつけてきた。
「バウリンガル・ブラジャーさ!」
ブ!ブラジャーッ!!!




