12話 解雇されていた元騎士団長
さて、数話ぶりにここからは俺のターンだ。
俺たちは手分けして、レオナルドという男を探している。
《キーレギエタの街ー駅前》
俺は蒸気機関車の駅の前で待機している。
街行く人々の姿を確認する。
それにしても、人が多い。流通が発達したお陰だ。
だからこそここで見張っているのだが・・・
んー・・・
あまりにも無計画過ぎたか?
全くもって手掛かりがない。
こんなにたくさんの人から何かを見つけるなんて・・・ってアレは?
その男も、俺に気が付いたのか
歩いて近寄ってくる。
「や!やっぱり!フレデリックさんだ!」
「お!お前は!ええっと・・・」
目の前に現れたのは、前シリーズで唯一名前を与えられしモブキャラ・・・
溺れているところを助けたラムドの武器商人・・・
「カタスカですよ!あの日!助けて頂いたじゃないですか!」
「カタスカ!元気だったか?」
「全てを失ったあの日から私は・・・」
カタスカは全てを失って川に溺れ、俺が助けてから今日に至るまでの日々を語り出した。
ー回想ーーーー
いや!まて!
こんなモブキャラの回想に割く時間はない!
ー回想おわりー
「という訳なんです」
カタスカは武器商人をやめ、貿易商として酒の輸出入をしているらしい。
この数年で、武器は売れなくなったというのだ。平和の弊害である。それでも商売は軌道に乗っているという。
俺が酒で失敗し、カタスカは酒で成功している。
トホホのホ・・・
「そうか・・・って、カタスカ!?お前、貿易商なのか?」
これは、何か遠くても手掛かりがあるかもしれない。
俺はカタスカにこれまでの話をした。
第1章のあらすじだ。
異国の人間が闘士たちの死体を運んでいたが、あれはもしかすれば、貿易品として横流しされている可能性がある。
「う〜ん、流石に死体の輸出入の話は聞いた事ありませんねぇ」
カタスカも首を傾げている。
彼曰く、輸出入は盛んに行われている為、カタスカの範囲では全ての物流を把握していないとのことだ。
そもそも、死体を運んだとしても、死体としては運ばんよな・・・
「あっ!でもですよ!最近、グラフィカ帝国で怪しい動きがあるって話、知ってます?」
「怪しい動き?」
「急ピッチで塔が建てられたり・・・」
「塔?」
「なにより、禁忌魔法の研究開発が行われている、って話ですよ・・・」
禁忌魔法・・・
なにそれ?
配られたビラに書かれていた気もするが、俺は自分の事が書かれていた記事の記憶しかなかった。
「なんだソレは」
「魔法の中でも、倫理観を無視するとされる技術ですよ」
「は、はぁ、倫理観・・・ねぇ・・・」
「あっ!不貞行為とか!そういうレベルの、話じゃないっすよ!」
ガハハハハッ!っと笑うカタスカ。
俺はコイツを殴ろうか迷った。
そもそも。
魔法っていうものは、前シリーズで現れた最強の異世界転生者ツヨシの力を結晶化し、そのパワーを上手に使う事で炎を出したりとか、治療したりする事の出来るものだ。
この前の鉄球飛ばし野郎は力の結晶を持っていた。
・・・3年前。
この国では魔法を使う事は禁止になった。
力の結晶も数が限られているので、魔法を使える者は限られている。
それでも、魔法の研究を行なっている者がいるというのか?
「グラフィカ帝国・・・」
繋がっていく。
死体を必要とする事。
禁忌魔法を研究している事。
グラフィカ帝国は・・・
死者の蘇生を試みている・・・のか?
英雄は察しが良いんだ。
いや、もうそう思った頃には魔法は完成していると考えるべき。常に最悪を想定すること。
「カタスカ。お前はグラフィカ帝国に詳しいのか?」
「えっ?ええ・・・まぁ・・・貿易相手国ですから」
「よし、案内してくれ」
行くしか無い。グラフィカ帝国に。
英雄は判断が早いのだ!
「はぁ!?いや、無理ですよ!」
「助けた恩を忘れたのか?」
「えっ!それは汚いですよ!3年前の話ですし・・・そもそも、フレデリックさん、越境出来るんですか?」
なにを言っている。
俺は国の役人だ。
国を越えるための通行証など必要ない。顔パスって奴だ。
・・・あっ、解雇されてました俺。
「で、出来ない・・・」
「それじゃあグラフィカ帝国に行けないじゃないですか?」
「そこをなんとかするのがお前だろ」
「ちょ!ちょっと!」




