09話 単純な答え
「こりゃあ、マタタキ先輩には見せれねーッスよ?」
《キーレギエタの街ー人気のない路地裏》
「アシト。お前は平気なのか?」
「ウッす」
俺たちは拷問を始めていた。
路地裏で、俺とアシトが男を詰めている。
マタタキは少し遠くで見張りをしていた。
男の顔は腫れ上がり、爪は剥がれている。
アシトはマタタキと違って、こういうのには慣れているようだ。
・・・コイツ、異世界ではどんな奴だったんだ?
「これ以上は、何も知らない」
男の身体を痛めつけ、質問をし、それを何度も繰り返していると、その台詞が出るようになった。
「本当か?」
「本当だ」
「どうする?騎士団長さん」
「ある程度の情報は得れた。コイツは用無しだ」
「どうします?」
「・・・殺す、と言いたいところだが、身柄を城に引き渡す」
その場で殺しても構わなかったが、マタタキがそれを望まない気がしたので、やめた。
《3日後》
「情報を整理すると・・・」
マタタキは真剣な顔でメモをまとめている。
《ムジーク城ー兵士寮》
俺とマタタキとアシトの3人で
アンダーコロッセオについての情報をまとめていた。
ちなみに俺は追放された身なので、変装している。
「まずは地下円型闘技場は、僕やフッさんが体験した通り、闘士達が命をかける非公式の決闘場。そして、それの勝ち負けでギャンブルが行われていて、大金が動いている」
「そして、その決闘の死者を国外の者が輸送しようとしていたンですよね?」
「闘技場は人を殺す事に執着していた」
顔を見合わせる俺たち。
単純な答えが導き出される。
「何者かが・・・」
「死体を・・・」
「必要としている、ってことッスね」
俺とアシトが拷問によってあの男から得られた情報は限られていた。
ー回想ーーー
「はぁはぁ・・・本当だ。信じてくれ。俺はただ、命令に従って・・・」
アシトが男の手の指を全て折った頃。
その素性を明かした。
「俺は、あの場所の支配人を任されているだけだ。管理、運営・・・」
「誰の指示だ?」
「分からないんだ・・・俺はあの場所の運営者として、組み込まれただけだ」
男は怯えていた。
それは俺たちの拷問についてなのか、いや、それ以上の何かを感じる。
「何故、魔法を使える?」
「最低限の護身、邪魔者の排除・・・結晶と魔法の使い方を教わった」
「誰から?」
「俺に魔法を教えたのは、レオナルドと名乗る男だ・・・頼む、それ以外は知らないんだ」
「吐けよッ!」
アシトが男の腹を蹴る。
「ゔっ・・・これ以上は何も知らないんだ!本当だ!」
ー回想終わりー
「レオナルドという男の名前が出た」
俺はマタタキにあらためて伝える。
「この国のお尋ね者リストにはその名前は無かったよ」
「見つけ出すのは難しいっスね・・・」
しーん、となった後、アシトが再び口を開く。
「ところで、そのレオナルドを見つけてどーするんすか?アンダーコロッセオは運営者を処分した訳だし、しばらく動きは無いっすよね?」
「ああ。でも、どうもきな臭い」
俺は感じていた。
全50話で今9話。ここで物語が終わるわけが無いのだ。
それに・・・
「この件を解決させる事で、俺達の騎士団の座を取り戻す事が出来るかもしれない」
そうだ。
この一件を解決し、その成果をムジーク王に献上すれば、俺たちの評価はうなぎのぼりだ!
俺は再々雇用してもらえるかもしれない!
そうすれば騎士団は復活!
「俺たちの生活も取り戻せるってワケっスね・・・」
察しの良いアシト。
「今回も、フッさんの・・・いや、僕たちの座を取り戻す旅になりそうだね」
「イイっすね!お尋ね者探しの旅!」
こうして、始まる。
新章。
「よっしゃあ!」
「行きますか!」
「って、どこに行くんすか?」
無計画!
この時の俺たちは、まだ何も知らなかった。
大きな計画が動いているということを・・・
そしてちなみに前シリーズのツヨシは登場しないと言うことを・・・
【第一章 おわり】




