46話 運ぶ少年
僕が知りうるあの日の顛末。
ノイズ派リーダーであるザークとこのムジーク王国の4代目国王が和解したという事。
これにより一連のテロ行為は終わりを告げた。
この争いを止める条件として、ムジーク国王は蒸気および魔法の利用に関しての話し合いの場を定期的に設けることになった。
話し合いの場は設けられるけど、根本的な解決方法は見つかっていないらしい。それでも、血を流さずに、人々は利便性を求め、そして環境に優しい国を育てていくことになった。
まぁ、これだけ見れば、ノイズ派が勝ったように思えるんだけど、ザークは反逆者として30年以上の禁固刑となった。
禁固刑はザークが自ら提案したものだった。ビゼやトキタビの分まで、罪を背負う事を条件とした。ザークだけが禁固刑となり、対外的には、国王が反逆者を捉えたという事になって、国の威厳を保った。彼が死刑とならなかったこと、それらは僕たちやあの男が望んだ事だった。それをなんとかお願いしたんだ。
そう、これが数年に渡る、ノイズ派と国との戦いの顛末。
ピエスパさんが望んだ未来。
ーー回想ーーー
床に穴を開けて、その穴へ入っていくツヨシとフッさんを僕らは見届けるしかなかった。
フッさんは僕らが助けにいくことを拒んだ。きっと、軍神様に恥じない戦いをしたい、そういう事だったのかもしれない。
僕らは地下結晶室へは向かわなかった。
何故なら、僕が視えた未来は、地下へ行くことではなくて、王様と対話する事だったからだ。
「ザーク。僕たちが今するべきこと、それは、王様との対話じゃないかな」
僕はそうやって、ザークを促した。
ツヨシのいない国王は、僕らに囲まれて、対話せざるを得ない状況になっていた。
ー回想おわりー
《ムジーク王国ー王都ピアノー魚骨街》
「ゔー!重い!重すぎるよ!」
「なに言ってんのよ男子。さっさと歩くわよ」
「だって僕、まだ中学生だよ?」
「この世界で年齢とか関係ないから」
僕はシズカと角材を運んでいた。
「おい、クソガキ、なんか落としたよ?」
僕が体勢を変えると、ポケットからペンを落としてしまった。それをシズカが拾う。
「つーか、クソガキって言い方やめろよババア!」
「はぁ〜?」
ここは魚骨街。王都ピアノの貧困層が暮らす街だ。王都襲撃からしばらく経っていて、被害の状況が見えていた。この街には直接爆弾が飛んできた訳じゃないけど、大きな破片なんかが突き刺さったりして、被害は甚大だった。
裕福な街の人達は簡単に大工を雇って、復興に進んでいたのだけれど、この街の人たちはお金がなくて自分たちで街を修復していた。
僕は、視えていた未来を無視して、たまたま通りかかったこの街の復興を手伝う事にしたんだ。シズカも珍しく、それに同意していた。
そういう話はしてないけど、きっと何かしらの、懺悔の意味もあるのかもしれない。
「クソガキ。ところでアンタ、この後どうすんのよ?」
「えっ? うーん、何も考えていなかったよ。シズカは?」
「私?どこか遠くへ行こうかな」
「どこか?」
「うーん、まぁ、正直何も考えてないわよ」
この先の目標が無くなってしまった途端、僕たちはやる事が無い。だからこそ、きっとこうやって時間を潰すような事をしているんだ。
僕も何かしら、考えようかな。この先の事。




