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その座を奪われた主人公   作者: 大野春
第五章 その座を奪われた主人公 
41/101

41話 対峙する国王


俺が踏み出すと同時に・・・無音。

俺の耳から音が消える。

シズカの力だ!


シズカを見る。シズカが何かを叫んでいる。

それを見て、トキタビが頷いている。

トキタビは力の結晶を取り出し、俺を見た。


何度も言う、英雄は察しが良い。


俺は、トキタビとアイコンタクトを取る。

結晶を取り出し詠唱を始める。

トキタビは俺に向けて、転移魔法を使った。



その瞬間、俺はビゼの隣にいた。

走り出した俺を見て、シズカが叫びながら俺をビゼの元へ飛ばすよう、トキタビに指示したのだろう。



「フレデリック・・・」

突如現れた俺に驚くビゼ。


「ビゼ。俺さ、未来に飛ばされてきて、何も分からなくて、孤独だったんだ。お前とは違うかもしれないけど、世界で孤独だって、考えると・・・」

そこから先の言葉が出てこない。何故なら、あまりにも境遇が異なるからだ。


この目の前の華奢でワイルドな女の事、わかったつもりでも、分かる訳がない。

まぁ、いい。


言葉が出ないので、その分優しい握力で俺はビゼの手を取っていた。


とりあえず、爆弾は作動しないで済む。


「降りよう、ビゼ」


「どうすりゃいいんだよアタイは」


「これから考えよう」



ーーーーー



さて、一悶着あった。

とりあえずこのクソでかい爆弾をまずはどうにかしなきゃならないのだが、スイッチを押さない限りは作動しないとのことだ。

トキタビが魔法でその爆弾を氷漬けにした。


俺たちは触れないでおこう、そういう事になった。


そして



《ムジーク城ー王室》



再び王室にいた。


玉座に座る4代目ムジーク王。

その隣にいるツヨシ。

そして何故か王様側に立っている俺。


その逆サイドに、マタタキ、シズカ、ビゼ、ザーク、トキタビの5人がいる。


「王様。先に申し伝えます。私がノイズ派のリーダー、ザークです」

ザークが身分を明かす。

兵士たちがざっ、っと構えた。


「き!貴様!本当か!?こんな所にノコノコと現れおって!裏切者!国賊!お前は死刑に処する!」

「・・・構いません。しかし、お話を聞いていただきたいのです」

「貴様の声を聞く耳などない!フレデリックよ!コイツの首を今すぐ撥ねよ!」

ムジーク王が俺に命令をする。

いやぁ、王様さぁ・・・


「王様、勘違いしないでくれ。さっきも言ったろ。俺は国の為に動く。アンタの為じゃない。まずは話を聞く事ぐらい、いいじゃねーか」


顔をぷるぷると震わせるムジーク王。

やはりコイツは王様の器ではない。

小物だ。


「貴様ぁ!フレデリック!私の命令が聞けないと言うのか!」


俺は剣を抜いた。

その剣を、ザークに向ける。


「王様。俺だってコイツのしてきた無差別破壊は気に入りません。現に俺は死にかけたし。・・・ただ、コイツにも考えがあったはず。それをまず聞きましょう。ダメなら俺の判断で切りますから」


王様は無視をする。

怒り狂っていた。

ザークはそんな空気など読まずに語り始めた。



ーこの国の事。




俺が飛ばされた48年の歳月。




TSUYOSHIツヨシHISUSYOTヒスショトと名前を変え、異国から現れた大賢人として城に存在していたらしい。


ツヨシは蒸気を発明し、チート能力を結晶化する事で魔法を作り出した。

それらの研究は城の内部の人間で行われていた。

そこにピエスパやザークがいた。


蒸気が完成した頃、それが兵器として使われ、そして環境が汚染されていく事に胸を痛めたザークはピエスパの協力の元、この国から逃げた。


帝国を利用し、いや、ザークが利用されていたのだが、ノイズ派を結成した。


その後、魔法が開発された。

魔法も同じく、兵器として利用された。

ピエスパさんは限界を感じ、そしてザークの行きすぎたテロ行為を止める為、彼もまた城を離れた。


その途中、回復魔法を完成させた。


トキタビはそのチート能力である、超脳力と呼ばれる力で転移魔法を作り出した。


ザークはピエスパの回復魔法で帝国からの洗脳、行き過ぎた反骨精神を浄化され、正気になった。

人を殺めてはならない。そうしてここに来た。



ザークが国王に伝えたい事・・・それは



「技術や魔法を正しく使いたい。出来れば兵器ではなく、人を幸せにするとか、あと、環境を汚さない方法が無いのか、模索したいんだ」


それがザークの・・・ノイズ派の・・・

そして、亡くなったピエスパの願いだった。



「お願いします!」

マタタキも頭を下げている。

他の奴らも頭を下げた。



いつしかそれは、皆の願いになっていた。



俺もそれに同意する。



「どうだろう?王様?」

俺は王様に尋ねる。



「みぃ、認めるわけ無いだろうが!!!」

顔を真っ赤にする王様。えっ!良い流れだったのに!



「大賢人様!この目の前にいる4人と!この使えないフレデリックという男もろとも!殺してください!」

王様がツヨシに命令する。




「・・・んーと、え?やっちゃっていいわけ?」





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