38話 半信半疑の国王
《ムジーク城ー王室》
「貴様・・・手練れだな」
4代目ムジーク王が驚いた顔をしている。近衛兵をなんなく制した俺を見て、好奇の目を俺に向けていた。
「お前達は色々なモノに頼りすぎている。基本的な戦術がなっていないだけだ」
本当に情けない。兵力が落ちている。
「お、お前、一体何者なんだ?」
「俺の名は、フレデリック・ショパニ。3代目ムジーク王に仕えていた者だ」
「何を言ってるんだ。若いじゃないか君は!」
まぁ、誰もがそう思うだろう。
「未来に飛ばされてきたんだ」
「過去から来たという事か?馬鹿を言うな」
「魔法が存在するんだろ。あり得なくない」
「むむむ・・・」
ムジーク王は頭を悩ませている。過去からきたということを信じてはいないようだが、俺が俺であることを、強さが証明している事を目の当たりにしている。半信半疑だ。
「もう一度問う。ツヨシという男は、もうこの城にいないのか?」
俺は王に再び尋ねた。
「いない」
「なら、ここに用は無い」
くそう・・・ここまで来て収穫ナシかよ。
俺は振り返り、王室を出ようとする。
「待て、貴様、本当に過去から来たのだと言うのか?」
「何度も言わせるな」
「どうだ?それなら、十分な褒美を与える。お前の強さは目にした。我々の元で働かないか?」
「随分と都合の良いものだな」
「分かるであろう。この国は、今もなお攻撃を受けている。ノイズ派というアホ共にな」
「攻撃は時期に止まるだろう」
きっとマタタキ達がなんとかしているはずだ。ビゼの事は気になるが・・・
「何を言っている」
俺は説明が面倒なので辞めた。また国に仕えるチャンスが巡ってきたのだが、今のムジーク王国に価値は見出せなくなっていた。
なにより、あの男に一発お見舞いしなければならない。ここに用は無いのだ。
「頼む!国を救ってくれ!なんでも与えよう!そうだ!尋ね人がいるのだろう?大賢人様の力で探してみよう!」
「大賢人?」
「そうだ!ヒスショト様の魔法なら、お尋ね者探しぐらい容易いかもしれない!」
「・・・なるほど。ツヨシに会えたら、目的は果たされる。もし本当に会えるのであれば、この国を守る騎士として仕えよう」
「よし!決まりだ!フレデリック君!ついてきたまえ!」
馴れ馴れしくなる4代目ムジーク王。
《ムジーク王国ームジーク城ーヒスショトの部屋》
王様さえもノックをする部屋に案内される。
「入りますよ、大賢人様」
大賢人の部屋は本が並べられていた。さすが賢い人。俺は感心する。余程の暇人じゃなければ、こんなに本は集められない。
大きな部屋に沢山の本棚。机には読みかけの本が置いてある。
・・・大賢人の姿が見当たらない。
「ご不在ですかぁ?」
王様が広い部屋で声を響かせる。
ごそごそ、と音がする。
「今行くよ」
遠くから、若い声が聞こえた。
俺と王様は入り口付近で待つ。
・・・なかなか現れない。
「大賢人ってのは、何者なんだ?」
なかなか現れないので俺は王様と適当に会話をしてみる。
「異国から技術を伝承してきた素晴らしいお方だ。大賢人様のお陰で蒸気や魔法が創り出されたのだ」
「ああ、そうだったな」
そういえば、図書館で読んだ年表にそんな感じの事書いてあったな。生きていたのか。
「そもそも魔法も、大賢人様の力を封じ込め、それを、代理で行使しているに変わりないのだ」
ああ、それもピエスパが言ってたっけ。
亡くなったのか、あの人・・・
・・・俺が50年余りの時を飛ばされている間。
大賢人によって蒸気文明が発達した。
そして、更には魔法が作り出された。
それによって国は発展した。
その副産物として、環境が悪化して
ノイズ派が現れて、国を脅かしている。
50年か。
本当なら俺は80歳を過ぎているのか。
ああ、そう考えると、変わっちゃうよな。
国、なんて。
「・・・お待たせ」
「ヒスショト様!」
俺は俯いた顔を上げる。
・・・大賢人ヒスショト
え?




