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その座を奪われた主人公   作者: 大野春
第四章 頼もしい奴
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37話 巡り会う人達




 向かうべき場所が見え、トキタビの転移をつかいつつ、僕らはそこに到着した。

 その場所には女の子が2人。



 「ザーク!!!!」「マタタキ!?」

 シズカの隣にいた華奢な女の子・・・その子がノイズ派のメンバーだったようだ。

 どうしてシズカがこの子といるのか分からないけど、僕は運命の巡り合わせというものを感じている。


 「ビゼ」「シズカ!?」

 ザークは冷静にビゼを呼び、僕は驚いた声でシズカを呼んだ。


 「どうして?」「ここにいるの?」

 「僕が聞きたいよ」

 僕はシズカに尋ねる。どうしてこの場所に・・・フッさんとじゃなくて、ノイズ派の人間といるのだろうか?


 「ビゼ。作戦は中止だ」

 ザークは華奢な女の子にそれを伝える。


 「何言ってんのよ!」

ビゼと呼ばれる女の子の顔が強張る。

 「説明している時間はない」

 「ここまでやって!?今更逃げてどうするの?まだ爆弾は沢山あるんだよ!」

先ほど逃したパブロとは違い、難色を示している様子だ。

 

 「すまないな、ビゼ・・・」

そう言ってザークはトキタビの顔を見る。これはサインだった。強制的に女の子を飛ばす。ザークの判断は早い。

 それを察したトキタビが空間転移の魔法を使おうとした時。


 「リストが殺された」


 その一言で、その場の空気が止まった。僕はその人の名前だけ知っている。残り1人のノイズ派のメンバーだ。


 「それならば、尚更だ。これ以上、被害を出す事は出来ない」

 ザークが切り出す。


 「アタイはアタイの信念のために戦う!」

 その女の子が、その身軽な身体を捻る。猫のような動きで逃げる。なんて身のこなしなんだ・・・野生的な感じ。


「トキタビ!急げ!」ザークが焦っている間に既にビゼは消えた。



「ダメだ!もう射程範囲外だ」

トキタビの魔法は不発に終わった。

「くそう・・・」


「すまない・・・俺さぁ、リストが死んだって、動揺してしまったよ。釣り仲間だったんだよリスト・・・」

トキタビは、膝を崩した。僕はトキタビを変な危なくて怖いヤツだと思ってたけど、人間味のあるやつだった。



ーーーーー



逃げたその女の子の名前はビゼ。僕たちはまず状況を整理した。


「ビゼの話が本当なら、この王都に残っているノイズ派はおそらく、ビゼだけだ」

「ビ、ビゼさんは何をするつもりなんですか?」

シズカが恐る恐る聞いている。


「我々の最終兵器、ムオンを使用するかもしれない」

「ムオン?」

「超特大な蒸気爆弾だ」

「そんなもの、どうやって・・・」


「俺の魔法を施している。作戦の開始と同時に、この都市へ既に移動しているはずだ」


その巨大爆弾は僕がさっき倉庫で見たように、あの女の子しか知り得ない場所に保管されていて、魔法を利用した仕組みで簡単に城の地下に転移する事が出来るらしい。


「城を破壊するだけの力はあるはずだ・・・」


「ビゼはそれを作動させるってこと?」

シズカが尋ねる。


「ああ・・・」

苦そうな顔をするザーク。

少し前にザークは言っていた。その爆弾は人力で作動すると。つまり、あの女の子が爆弾を作動させるのであれば・・・自爆。


「行くしかないよ!」

僕は提案する。


「トキタビ。付いてきてくれないか」

ザークがトキタビにお願いをする。

「分かってる。お前はどうするんだ?」

トキタビに指をさされるシズカ。


「行くに決まってるでしょ!」


「作動すれば我々の命は無い。それでもか?」

ザークが確認する。


「私、よく分かんないけど、ビゼは私の友達なの。命を張れる友達なの!」

「分かった」


こうして僕達は地下水道を通り、ムジーク城の地下結晶室と呼ばれる場所へ移動を始めた。


「久しぶりじゃん」

シズカが呑気に話しかけてきた。

「うん」

僕はピエスパさんの事を正直に話した。



「なんか、少し大人になった?」



思いがけない言葉がシズカから返ってきた。


人が死ぬ事で大人になれるなら

僕は子供でいたい。




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