34話 大人の顔つき
マタタキは顔色変えず、というか、顔色を変えないように・・・
ピエスパの死を語った。
なにより、そのピエスパを殺したザーク本人が目の前にいる。
「ピエスパさんの魔法は成功したんだ」
マタタキは続けて話をした。
ピエスパの死は無駄にならなかった。
その代償としてザークは改心した。
そしてザークの部下である、トキタビという男の魔法でここにやってきた。
3人の目的は、今現在進行形で行われているノイズ派の攻撃を止めるという事。
「僕たちはこの王都にいるノイズ派を急いで説得しないといけないんだ!これ以上、被害を出しちゃいけないんだ!ピエスパさんの為にも!」
訴えかける目。
初めてコイツと出会った日のあの、潤んだ目とは違う。
「・・・マタタキ」
お前、顔つき、変わったな。
「なに?」
「いや、何でも無い。お前らにはお前らの目的があるんだろ?」
「うん。そしたらまた会おうね!フッさん!」
マタタキがそう言って、3人は辺りを見回し始めた。
そこで察する俺。
・・・このトキタビと言う男、空間を転移する魔法が使えるのか!?
ダメ元で頼んでみるか。
「なぁ、そこのトキタビという者。お願いがある。俺をこの堀の向こう・・・城まで飛ばす事は出来ないか?」
俺は依頼してみた。
架け橋が無いが、こいつら3人が現れた様に移動できるのであれば
架け橋の無い状態で城内へ行く事が出来るのではないか、そう思った。
「俺さぁ〜、見知らぬ奴の指図は受けない」
と即答するトキタビ。
・・・なんだよコイツ。
「トキタビ!頼むよ!同じ転生者だろ!」
マタタキがトキタビを説得し始めた。
というよりマタタキは目的の為に早いとこ面倒な俺の願いを済ませたいという感じだ。
・・・って、コイツも異世界転生者なの!?
ってコイツ!よくみたら!
「お前、あの時釣りしてた奴か!」
「ったく・・・しょうがないにゃあ」
トキタビはポケットから力の結晶を取り出して、何かを念じ始めた。
「フッさん!僕もノイズ派を止めたら、そっちに行くよ!」
「そうか」
そして、俺の身体が突如、びりびりと痺れ始めた。
な、なんだこれ!
気がつくと、俺は堀を越えていた。
さっきまでいた場所に3人が立っていて、マタタキが手を振っている。
「いってらっしゃい!」とマタタキ。
俺は拳を上げ、城を見上げた。
ありがとう。
そして、俺は城門をくぐる。
見慣れた景色だ。
「おい!貴様!何者だ!」
透明化しているのだろうか?
兵士らしき者の声だけが聞こえる。
俺は無視をした。
無視をして、城内へ向かう。
「これ以上進むのであれば!斬るぞ!」
兵士の声が聞こえる。
「喋っている暇があるなら!剣を抜け!」
俺はそういって、音だけを頼りに、見えない兵士を想像で作り上げ、剣を振るい、兵士の持つ剣を弾き飛ばした。
弾かれた剣だけが姿を現し、地面に落ちる。
「魔法や技術に頼って、ムジークの兵士も弱体化したな!恥ずかしい!」
50年経ち、技術が進歩した今がそれか。
俺の時代は・・・こんな生温くなかったぞ。
俺は堂々と歩く。
兵士が近寄ってくるイメージを持ちながら、剣を振るう。
なんだろう、無敵だ。
こんな弱いヤツらに負ける気がしない。
そして、そのまま、見慣れた景色・・・玉座のある王室までの階段を・・・一段ずつ踏みしめて向かう。
懐かしい。
あの日も。
あの日も。
ここを登る時は、怒りの感情など無かった。
扉を開く。
「我が名はフレデリック・ショパニ!時を越え!ツヨシという男に会いに来た!」
しーん。
玉座に座る男。
おそらく4代目ムジーク王。
その周りの兵士達。
側近のハゲジジイ。
「ななな、なんだね!チミは!」
ムジーク王が口を開く。
その語気の弱さも、俺を雇ってくれた3代目のような勢いが無い。
・・・なんつーか、小物、って感じ。
「俺は3代目に雇われていた騎士だ!かの、ソーレント戦役での活躍は!英雄譚として!発行されるレベルの!騎士だ!」
「ソーレント戦役!?いつの時代の話をしている!!!!気の触れた男か!?」
側近が慌てている。
「ツヨシという男に会わせろ!」
「何を言っている!そんな奴はいない!」
い、いない!?
「この不審者を捕らえよ!」
ムザーク王が兵士に指示をする。
「待てっ!俺の目的は!ツヨシだけだ!」
剣を抜き、応戦する俺。
しかしまぁ、弱い。
こいつら、本当に王を守る兵士なのか!?
俺は兵士の剣だけを弾き飛ばす。
殺意が無いことを示す為だ。
「危害を加えるつもりもないんだ!ツヨシに合わせてくれ!」
しーん。
え?本当にいないの!?
みんな知らないだけ!?




