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その座を奪われた主人公   作者: 大野春
第四章 頼もしい奴
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31話 始まりの爆発



《ムジーク王国ー王都ピアノー西区〝魚骨街〟》



王都内の備蓄庫への警備は手薄、というか何も警備などされておらず、俺たちはなんなく地上へ出る事が出来た。

外側の鍵も外されている。こういうラッキーな事は続くものだな。


外へ出ると太陽の光が眩しい。

輝いている空を指さす俺。

見慣れない高い建物の隙間から見える、見慣れた景色・・・



「あれを見ろ」



50年近く経っても、変わらない姿の城が見えた。

ここから歩いて30分もあれば到着出来る。


「あの城がフレデリックさんのいた所?」

「そういうことだ」


あれがムジーク城。

俺の体験した時間では1ヶ月程度しか経っていないのに、もはや懐かしさすら感じるもんだな。


「どうやっていくのさ?」とビゼ。


「一度地上には出たが、もっと近い所から地下水道に入って、城内へ侵入するつもりだ」

西4の出口から出たが、西2まで進み、そこから地下水道を再び行けば城内はすぐだ。


「ふーん。なぁ、フレデリックよ。ちょっと寄り道していい?」

ビゼが提案する。


「どこへ?」

「私が住んでたところ」

「まぁ、いいか」

俺もさっきの出来事があって、若干無駄な邪念がある。

少し休みは必要かもしれない。



《王都ピアノー魚骨街ー中心部》



ここは、魚骨街と呼ばれているらしい。

俺の時代はそんな呼び方はされていなかった。


「王都の上流の人たちの食べカスで生きる街。それが魚骨街」

ビゼが歩きながら語る。

自分が育った場所を懐かしんでいるようだ。


街並みは俺の時代から劣化したままで、全てが古ぼけて見える。

謎の安心感があった。


「ここ」


潰れかけた木造2階建ての家がある。


「ここに住んでたの?」とシズカ。

「うん。さっきのマーヤおばさんに育ててもらってた場所」

まぁ、つまり売春宿という事か。

マーヤ・・・俺が飛ばされて幾年もここで過ごしたのか。


「もう誰も住んでなさそう」


「ビゼ。ここを拠点にする事は出来るか?一度身を隠して、武器を整備しておきたい」


「まぁ、誰もいないから大丈夫だと思うけど」


恐る恐る、侵入する俺たち。



《廃墟》



その部屋はもう既に崩れかかっていて、

身を隠すにはもってこいだった。

むしろそれは用意されていたかのような隠れ家だ。


ビゼは幼少期を過ごしたこの建物を懐かしみ、シズカは興味深そうにビゼの幼少期の話を聞いている。


俺は武器を掃除しながら・・・

たまたま見つけてしまったノートを読んでしまう。


それは、マーヤが残したものだった。


ほとんどは売りに出した女の記録であったが、そこには時折俺の名前が書いてあった。


ー〝英雄はいつ帰還するのか〟


すまんマーヤ。

今、帰還したんだ。


ーーーーー


さて、行くか。

俺たちは武器を整え、魚骨街を後にする。

王都は、結界や兵士に守られている安心があるのか、緊張感などまるでなく、 平穏な空間であった。



《ムジーク王国ー王都ピアノー中央区》



俺の知る王都の景色は・・・

何もかもが変わっていた。

そこらじゅうに蒸気が噴出し、文明の利器が絶え間なく動いていた。

ノイズ派の事など全く気にせず、多くの民衆が楽しそうに過ごしている。

増えたなぁ・・・人口。



もうすぐで、あの城に戻れる。




ーその時だった。



ひゅーん。という、音が耳を刺激する。

その方向・・・空を見る。


地上から空へ、何かが飛んでいる。

それが城の外壁へ衝突し、爆発する。

バン!と大きな音を確認すると共に、衝撃波が来る。

城の瓦礫が飛んできた。


悲鳴をあげる都民達。



「・・・まさか、ノイズ派?」



ビゼとシズカは無事だ。


「ここは安全じゃないの!?」

取り乱しているシズカ。


「ここから逃げようぜ!」

そう、ビゼが言う頃には、俺たちは逃げ惑う都民の濁流に流され、離れ離れになっていた。


遠くから鐘の音が聞こえる。

ああ、この音は変わらないのか。

緊急時を知らせる音。


「おい!やばいぞ!」

「みんな逃げろ!」

「警備はどうなっているんだ!」

「どけっ!」

都民達が慌てている。


続け様に、また空を汚す何かが城へ向かって飛んでいく。

ばん、という音と共に崩れていく城壁。


そして、俺は微かな殺気を読み取った。


ばたっ、ばたっ・・・


逃げ惑う人のいくつかが倒れていく。



血飛沫をあげて。



殺気を読み取り、剣を抜く。

「何のマネだ!」

俺は応戦していた。

反射神経のようなものだ。




「ごめんな!フレデリック!」




ビゼが・・・俺に刃を向けている。




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