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その座を奪われた主人公   作者: 大野春
第三章 認めてしまった少年
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29話 確認する意思


 槍の刃先を向けたまま動かない敵兵。


どうやら、コイツは大層な防具をお持ちのようだが、戦いには慣れていないようだ。

まったく。この国の兵力も下がったな。

俺がかの、ソーレント戦役で活躍した頃の兵士たちは優秀だった・・・

おっといかん、昔のことを思い出している場合ではない!


 二度目の攻撃!俺は同じ様にその脚力で兵士を斬れる間合いに入り込む!そして剣を振る!そして兵士は同じく後退りする!


 その瞬間を捉えた。


どうやらコイツの履いてる靴には滑車のようなものが付いており、俺にはよく分からないが蒸気がプシューッと吐き出されて移動しているようだ。


 要はコイツの靴が汽車!


分かったところで対策が無い!



 「フレデリック!どうすんの!?」

 「考え中だ!」



 コイツの回避行動は真後のみ!同じ様な槍で突けば攻撃は届くかもしれない。

 剣で突くか?剣を投げるか?

 ・・・いや、鎧をぶった斬る力が届くかも分からない。投げて武器を取られたらオシマイだ。


 「シャラ臭いぜフレデリック!アタイがやるよ!」

 ビゼが腰に掛けた4本のナイフのうち1本目(殺す用)と2本目(皮を剥ぎ取る用)を両手に持ち、身体を捻りながら兵士の元へ走る。


ひゅん!と空気を切る音。

頼もしい奴だ、ビゼ!

しかし、兵士は素早く交代する。


 「一本目ぇっ!」ビゼが逃げる兵士を捕らえるようにナイフを投げる。

 カツン、と鎧に簡単に弾かれてしまう。


 その怯んだ隙を捉えたビゼが前進し、3本目のナイフ(臓器を抉る用)を取り出しながら2本目のナイフで斬りかかる。


 しかし、またしても、逃げられる。

「二本目ぇーっ!」ナイフを投げる。

 それも、弾かれた。

 そして同じく4本目を手に取り、3本目で斬りかかる。

 そしてそれを避ける敵。


・・・コイツ、無計画???


「三本目ぇーっ!」ナイフを投げる。

次の攻撃は1本目のナイフを踏みつけながら、高さをつけての投刀だった。

しかし、ナイフは敵の鎧にすら当たらない。


そして、ビゼは「四本目ぇーっ!」と言いながら、思っ切り4本目(それ以外用)のナイフを投石の要領で投げる。


敵兵の横を抜けたナイフが、あり得ない挙動をする・・・あれは・・・


1本目のナイフが、4本目のナイフと糸で繋がっている。

いつのまにか地面に刺さっている1本目を中心に、敵兵を巻き込むようにナイフと糸がぐるぐると敵兵に絡みつく。


「もう逃げれないぜ!」

ビゼは2本目と3本目を陽動に使い、罠を仕掛けていた。糸によって自由を奪われる兵士。


「フレデリック!アタイにはパワーがないから、よろしく!」


「助かるよ」


俺は身動きの取れない兵士の兜をめがけ、剣を振り下ろす。

兜割だ!真っ二つにしてやるぜ!



ガツーーーン!!!!



あまりの兜の硬さに、俺の剣ではそれを斬る事は出来なかった。

鎖といい、最近の素材は凄いなぁ。

感心する俺。


打撃となった兜への斬撃は兵士の脳を揺らし、脳震盪を起こした兵士はぐったりと、倒れた。



「ビゼ・・・凄い」とシズカ。



「動物を捕まえるほうがよっぽど大変だよ」

ビゼが仕掛けを解いている。

その仕草すら手際が良い。


「とりあえずコイツが気絶している間に・・・」

俺たちは兵士の武器防具を剥ぎ取り、可哀想ではあったがその男を木に括り付けた。



「なぁ、このカギ・・・」

ビゼが兵士の鎧からカギを見つけた。


ーーーーー


ガチ!っと開錠。


「こんな、ご都合主義的な事あっていいのか?」

兵士が持っていたのは、備蓄庫の鍵そのものだった。


「いいんじゃない?元々壊すつもりだったんでしょ?」とシズカ。

「ま、まぁな!」

結果良ければ!ってヤツだな。


カビ臭い備蓄庫の箱や麻袋を動かし、床にある大きな扉を開く。

その先は階段になっていた。



「へぇー。マジであるんだ」驚くビゼ。

「ちょっと怖い」とシズカ。



ああ、言っておかなくちゃ。

確認しておかなきゃ、俺。



「お前ら。この先は、どうなるかも分からない。命の保証も無い。どうする?」



そうだ、俺の目的のためについてきている彼女たちに確認をしてみる。



「私は、ついてくよ」とシズカ。

「アタイも」とビゼ。



「危険が迫るかもしれない。今みたいな追っ手が来るかもしれないんだぞ?」

「フレデリックさぁ、何言ってんのよ」とビゼ。




「守ってよね。英雄なんでしょ?」とシズカ。




ああ、そうだった。

俺は英雄フレデリック。



ただ今、約50年ぶりに、王都に帰還する!




【第三章 おわり】


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