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その座を奪われた主人公   作者: 大野春
第三章 認めてしまった少年
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26話 認めてしまった少年



《ノイズ派のアジト蟻穴ーリーダーの部屋》



ピエスパさんの魔法が発動し、光がザークの頭へ到達し、光の粒子が耳の中へ入っていく。

きっとこれがこの男の脳みそだとかに入って、なにかをしてくれるはずだ。

フッさんやシズカを救ったように、それはきっとこの男を改心させるはずだ。


「ピエスパさん、残念だ」


そう言って、ザークが動き出した時。僕は・・・

僕は何も出来なかった。


ザークは右手首についている紐を引っ張る。

そうすると、人差し指がポキリと折れて、その指の中から小さな何かが飛び出して・・・


「きっと貴方が何かをするだろう。そんな気はしていた」


それはピエスパさんの胸を貫く。

確認すると、鉄の棒みたいなものが刺さっていた。

そこからじわじわと血が広がっている。

飛び道具!?



「ピエスパさん!!!」

倒れようとするピエスパさんを僕は抱えた。

嘘だ・・・



「マタタキ少年。目的は果たされた。弟子を頼む」



「ピエスパさん!!!」

何かを喋ろうとするピエスパさん。

ごふっ、っと鈍い声が発せられる。

その口から赤黒い液体が漏れ出している。


どさっ、っという音が聞こえる。

ザークが倒れていた。

魔法が効いたのか!?

いや、今はそれどころじゃない。


えっ!?

ピエスパさんが死んじゃう!

どうして!?


これは〝進むべき未来〟じゃないの!?


どうして!?


僕は目を開いて、未来を視てみる。

僕の立ち尽くす姿が、見えていた。

そ!そうだ!


「ピ、ピエスパさん!魔法!回復魔法を!早く!」


僕はピエスパさんが手から離した力の結晶を拾う。

これがあればまだ間に合うはずだ!

フッさんやシズカを助けたこの力があれば!


「ね!ねぇ!!!」


僕はピエスパさんの手に、力の結晶を握らせてみる。

握らせているだけで、ピエスパさんは握らない。


「ピエスパさん!ピエスパさん!!!」


そ、そうだ、この結晶に、何か伝えれば良いんだよね!?

力を呼び出すために!

僕は未来を見てみる。分からないよ。

何やってるか分からない。

適当にその結晶に問いかけてみる。

助けて!とか回復魔法!とか!

そんな簡単な事でどうにかなるだなんて

思ってもいなかった。

普段ピエスパさんは真似できないような言葉の羅列を

その結晶に問いかけていたからだ。

分かるわけがない。


服がみるみるうちに赤く染まっていく。

ピエスパさんの目が開いたまま、動かない。



僕は認めたくなかった。

僕は認めてしまった。

ピエスパさんは、死んだ。



「お、俺は何てことを・・・」

起き上がったザークは、膝を崩して倒れている。

目の色が、変わっている。

怖かったはずの雰囲気が、何故か和らいでいる。



「ピエスパさんが、死んだ」

僕は状況を説明してみた。言葉として発してみた。

理解できない。


「うっ・・・」

ザークが苦しそうに頭を抱えている。

僕は何も喋れない。



「ピエスパさんの、声が聞こえる。俺は・・・俺は間違っていたのか。この人は、命を賭して、俺に魔法をかけた。そう語りかけている」


「お前のせいだ!!!!」僕は剣を抜いた。

「斬ってくれ」ザークは動かない。




ー〝目的は果たされた。弟子を頼む〟ー




ピエスパさんの最期の言葉がチラつく。

僕の手は震えている。僕はグロ耐性が無い。

人なんて斬れるわけない。



「あああ・・・俺はなんて事を・・・」

錯乱しているザーク。


僕はどうすればいい。

考えるんだ。

未来なんて視ようとしなくたって、ピエスパさんが導いてくれた今から、今を考えるんだ。



「ザーク!今すぐ!ノイズ派なんて辞めにするんだ!ピエスパさんはそれを願っている!」



「分かっている。分かっているさ。ピエスパさんの魔法が、俺に語りかけている。愚行を辞めろと、ただもう、手遅れだ」



「・・・手遅れ?」



「王都への大規模テロがもうすぐ始まる」



「えっ?」



「我々の一連の戦いの終止符となるものだ」

「終止符・・・?」

「少数精鋭、かつ大規模な攻撃を王都に仕掛ける」

「ねぇ、そもそもそんな事して、どうなるって言うんだよ」



「私ももう、分からないんだ」

改心したザークは頭を悩ませている。



「とにかく、行かなくちゃダメだよ」



視るまでもない、進むべき未来。

僕はザークに助言した。





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