24話 涙する老婆
《ムジーク王国ーキーレギエタの街》
俺の名前はフレデリック・ショパニ。
訳あって、イセカイから来た女シズカとよく分からない出会いをした女ビゼ。
その3人でキッテン山を降り、この街に来た。
俺が知っている街とは違う。
50年も経つと、こんなにも変わるのか・・・景色は。
「フレデリックさん!駅はあっちみたいだよ」
看板を見て指差すシズカはどこか浮き足立っている。
これまでの旅で一番大きな都市だ。
二等辺三角形のような街の、直角の部分にいる俺たち。
一番遠い所にある駅を目指して歩いていく。
駅までの道は大きな一本道で、俺の時代の時とは比べ物にならないぐらい人がいて、露店が並んでいた。
「全部ウマそうだなぁオイ」
並ぶ食材に興奮する相変わらずのビゼ。
「このアクセちょっといいかも!」
「べっぴんさん達にはお安くするぞー!」と店員。
「おい。お前ら、ほどほどにな」
小休止は必要だが・・・
こうして寄り道をしながら俺たちは駅を目指した。
《キーレギエタの街ーターミナル》
駅に到着する。
「やっぱり、王都までは停車しないみたいだね」
シズカは張り出された掲示板を見ている。
ノイズ派の動きのある昨今、王都への往来は許されていない。
「王都の手前・・・ルシンバに行ければ大丈夫だ。そこから地下水道を通る」
これが俺のプランだ。
「早いとこ、汽車に乗ろうよ!」
ーーーーー
お、驚いた・・・馬なんかよりも大きく、縦長になった船の様な物体がある。
蒸気で動くらしく、レールとよばれる汽車専用の道を進んでいくらしい。
時代変わりすぎだろ!便利に!
俺たちは(シズカ曰く)5両編成の列車の3両目に乗る。列車内は椅子があり、馬車のように座ったまま移動できるようだ。
「本当に動くのか?」疑う俺。
「動くよー!」
テンションの高めなシズカ。
向かい合った2人がけの椅子に俺たちが座る。
3人なので、席がひとつ空いている。
それを見つけたのか、おばあさんが声をかけてきた。帽子を深く被っており、その顔は見えない。
「ここに座ってもいいですか?」と老婆。
「もちろん!」とシズカ。
そんな会話をしていると、耳を破りそうな大きな音と共に、汽車は動き出した。
《蒸気機関車ゴセンフ号ー3両目》
俺もシズカもビゼも、流れ行く景色に夢中だった。
なんという速さだ。
汽車があれば馬車もいらない。
体験している最中なのに、この技術革新に俺は驚きを隠せなかった。
「驚いたなぁ」
「ふふ、フレデリックさん、子どもみたい」と笑うシズカ。
「アタイは乗った事あるぜー」
ビゼが自慢する。
野生児じゃないのか?この女?
「あ・・・ああ」
その時。
帽子を深く被っていた老婆が顔を上げ、俺たちに喋りかけてきた。
「どうしたの?おばあちゃん?」とシズカ。
「あなた、今、この男性の事をなんと言いましたか?」
「えっ?フレデリックさん?」
そういうと、老婆は帽子を取り、俺をまじまじと見つめた。
んー?
なんだろうなぁ、白髪だらけで、皺の生えた顔・・・
でもなんだか、見覚えがあるような。
「フレデリック様・・・」
「俺を知っているのか?」
「私です・・・マーヤです。もう何年も前・・・貴方に仕えていた者です」
ま、マーヤ!?
思い出せ俺・・・マーヤって名前は第1話に登場した、俺のハーレムを彩っていた妹系のマーヤ!?
「ま、マーヤ!?マーヤなのか!?」
たしかに面影はあるような。
そうか。俺は50年後の世界にいる。
奇跡的な確率かもしれないが、マーヤに出会えたのか。
これが50年後の妹系。
「お変わりないようで・・・いや、生まれ変わりでしょうか?」
「マーヤ、俺はあの時の俺なんだよ!理解できないと思うけど・・・俺は時を越えて、この時代に飛ばされたんだよ・・・マーヤ!すっかり・・・」
すっかり老いてしまって・・・とは言えない。
「久しぶり」
そう言い放ったのは、俺じゃない。
マーヤの顔の前に刃先。
ビゼがナイフを向けている。
えっ?
どういう状況だよ!これ!!!




