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水を飼う彼女  作者: きゃべつ
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もの不幸、悲しみ、絶望を背負っても厭わない。それが幸せというなら、不幸と幸せは亜紀穂にとって紙一重でしかない。貴方は先が長いのだから忘れろというが、逆だ。若いからこそ、無茶をするし、反抗するし、初恋だったからこそ、絶対に忘れない。きっといい大人だったら俺も二、三年で忘れて、律儀に命日に墓参りする時だけそんなこともあったななんて思い出すだろう。たまに何かのきっかけでぼんやりと哀しいほど曖昧にしか感じ取れない。何も出来なかったのは俺で、だから罪の意識も共生させて囚われながら生きていく。知っていたはずなのに、気づいていたはずなのに、聞こうと思えばいつでも出来たのに、怖くて怖くて聞き出せなくて。助けることは出来なくてもせめて、支えることぐらいは出来たはずだ。なのにそれもしなかった。ごめん。こんなに不器用で無力で馬鹿でいざとなった時動けない、側にいない。だからせめてもの罪滅ぼしに俺は君を想い続けるよ。力になれなかった代わりにね。こんなことしか今、君がいなくなってからすることは出来ないけれど。それでも俺は続ける。

 とても滑稽だ。思い続けて何になる。彼女が救われるわけでもないのに、俺だけ想っていて何になる。虚しい。今更遅いという刻の絶対不動の重み。今更足掻いたってどうしようもない。俺は君をちゃんと愛せていたかな?幼い頃の話だからなんて言い訳にもならないけれど、楽しく君は俺と過ごせていた?奇麗事を言える年ではもうなくなったけど、幸せだった?聞けなかったね。ちゃんと知りたかった。突然いなくなってしまったからなんて言い訳する気もなくて、ただもっと一緒にいたかった。足りない言葉を補って、伝えて、君に逢えたことが何よりも幸せって、感じてくれますようにって。陳腐で嘘くさくて馬鹿馬鹿しい言葉が大切になる時もあるんだって、単純に教えてくれた君にそれを返したかった。

なのにもう遅い。伝わらない。なのに幸せになってくれだって?これだけの仕打ちを彼女にしてしまったのに?そんなこと許さない。一人で逝かせてしまった君を想うと、そんなことできやしない。そう思うと残酷だね、大人って、子供って、人間って、時間って、世界って、

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