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い。しかしこういうコメディーを読むなんて意外だなと思っていたら、夏目用に買っておいたと言われ驚いた。さっきまで女生徒に悪態をついていた奴の配慮とは思えない。いい奴なのか、性悪なのか理解に苦しむ。しかし、笑顔で本は有難く頂いた。続きを読みたいからだ。こうも夏目好みの本を用意するとは珍しいと感服した。テレビに取り上げられるほどメジャーではないが、根強いコアなファンが多いらしい。早速そのファンの仲間入りを果たす。
途端、思い出し、違う話題になってしまうが、夏目は謝罪した。告白してきた女子のことだ。確かにその気のない奴に告白されても嬉しくないだろう。そのことを他人に批判されたら尚更だ。少し反省。すると驚きに伏せていた目を夏目に向ける。夏目と視線が絡むように目が合った。微かに顔に浮かんでいた、一抹の不安がすっと消えた。何に安堵したか分からないけど、亜紀穂は冴えきった目から穏やかな表情に変わり、少し微笑んだ。口元は緩めず目を細めるだけだったけど、嬉しそうだった。それからゆっくりと亜紀穂は大きな瞳を閉じていく。寝るのか。
「あれ?寝んの?今俺すごい良いこと言ったんだけど」
「池田も身体休めとけ。これからけっこう動くから」
これでもスポーツ特待ですから、心の中で呟く。夏目は長距離の陸上選手だ。山登りには慣れている。そういえば部活の人たちは今頃どうしているだろう。ふっと思い出す。部員にメールだけ送り、逃げるように駅に向かった。今頃初日の練習をサボった夏目は部員や監督からの非難が向かっているだろう。少し申し訳ない。だとしても、あの暑い日中に身体を無理に動かす必要はあるのかと、疑問に思ってしまう。ハードな練習メニューは辛くはないけれど、虚しさを覚えてしまうのだ。
どこまでも人間の限界を見極め孤独に、獣になっていく。心臓の鼓動が脈となり体中に巡って、見境がなくなるようで心中穏やかにはいられない。抑え込むのに必死になるのだ。限界を超えたら人はどうなるのだろう。言葉を失うのか、理性が崩れるのか、分からない。けれ




