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「そういやさ、櫻井昨日田辺さんに告られてたろ?断ってたみたいだけど」
亜紀穂は本から顔を上げ、夏目の顔を見た。口を開く。
「あの人田辺さんっていうんだ。うん、告られる前に流しといたけど」
「お前さ、そういう時はさ、普通ちゃんと聞いてやるんだよ。振るにしても流すことはないんじゃねえ?彼女だって必死で告ってんだからさ」
説教まがいのことを夏目から指導される。諭すようにしかし押し付けることなく、子供に言い聞かすように。まったく何の権利があって、自分の気持ちをそうも押し付けてくるのか、亜紀穂には分からない。また本に目を落とし、亜紀穂は冷たい薄笑いを浮かべながら、皮肉げに呟く。
「じゃあさ、聞くけど池田は好きでもなんでもない興味なしの田辺さんにああやって告白されたら、丁重に断って泣いたら慰めてやるの?そんなのよっぽど残酷なんじゃないかな?それは優しいってことになるのかな?俺はそうは思わないしそれが良いことだとしても、自分が面倒なことになるだけだ。そんなこと俺は望まない」
力のない弱弱しい消えてしまうような感情なんていらない。好きでもない人の感情なんて聞きたくもない。そう思う自分は罪なのだろうか。それこそが残酷なのだろうか。どうして俺ばっかりこうも責められるんだ。ただ、生きているだけなのに。似たような台詞は腐るほど聞き飽きた。今では何の感情も感じないけれど。ふうと溜息をつきながら止まらない言葉を繋げる。
「それにさ、田辺さんは本気で俺を好きなわけじゃないよ。ただ夏休みに娯楽が欲しかった、俺はただの暇つぶしの期間限定の玩具。ってところかな。きっと夏休みが終わったら俺が振られ役になるか、自然消滅がオチだよ。池田も分かってただろ?そんな人の薄っぺらい告白を真剣に聞かなきゃいけない俺のほうが良い迷惑だよ」
夏目は絶句していた。亜紀穂の深く儚い諦めを垣間見たことにショックを受けたのか、ただ単に冷徹な奴だと呆れたか、無表情で目を見




