16/41
16
放課後に図書室に寄るのも、亜紀穂の毎日の日課だった。
校舎の三階の北向きに造られたこの部屋は、特別室に囲まれひっそりと存在を隠すようにいつも閉まっていた。本来いるはずの図書委員はいつも訪れず、亜紀穂が大抵毎日鍵を職員室から借りて、入っている。まだ日は高いものの、北向きに建てられているので部屋の中は眩しすぎない。中に入るとやはり籠った生暖かいむんむんとした空気が顔を包み込んだ。一日一回は開放しているのになぜだろう。いつののことなので慣れきってしまったが、暑いことには変わりないので窓を全開にした。とたんに穏やかな優しい撫でるような風が、亜紀穂の身体、図書室の本たちを通り抜ける。少しは涼しくなった。
殆ど文学作品しか置いていないこの図書室は、生徒には使われていない。学校の図書室なのに参考書、職業に関する実用書がないのだ。代々教師や、卒業生が寄贈した小説が主だから、ここは資料といえるものがなく、学校関係者の読む本の趣味が過多なのだ。寄贈者の名前が入った本を一つ一つ見ていくと、結構面白い。この人の寄贈した本は、暗い深層心理小説を題材とした本が見られるとか、寄贈してくれた本の数を数えるのも亜紀穂の密かな楽しみとなっている。今までは本に無意味な装飾を施し、私物にはするなと云わんばかりにべたべた




