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動すれば都会にもさらに田園地帯しかないのどか過ぎる土地にも行ける。ここより少し北に行けば観光地が備わっていて、亜紀穂達が七月の上旬に行った宿泊学習合宿もそこの大きなホテルで行われた。自然に囲まれ代々地元から守られている観光地とは違い、中途半端な田舎のこの土地はバスも五時間に一本という観光バスも事前に予約しないと来ないなんとも足がないと移動しにくい地理となっているのだ。
電車は都会よりは少ながらずとも頻繁に来るから、遠い高校に行きたい学生は県外や都会の方に行ってしまう。まだ将来の目標が見つからない中学生や、金銭的に恵まれない生まれ、移動距離が遠いのは面倒というものはたいがい地元のこの学費の安い高校に通学する。その代わり偏差値は高く、どんな環境でもでも勉学に励めるよう放任主義を信仰している。特待生は最高二人だけで勉学とスポーツの二つだ。学費が少しだけだが安くなり、借金という形で支払いを社会人になるまで待ってくれたりする。けれど特待生になると結構浮くものだ。現に亜紀穂は今年の入学式で新入生代表あいさつで向けられた視線は、嫉妬や羨望の眼差し、好奇の視線で一杯で居たたまれなかったことを覚えている。同じクラスの人達も一流進学方面だからそんなに差はないけれど、どうやったって目立つものは目立つのだ。だからなるべくこれ以上変な噂がたたないように、大人しく過ごしている。一日十七時間勉強してるとか、アメリカの大学を六歳でスッキプ卒業したとか、すごい現実離れしてると思う。だからこそ人畜無害な性格をここで確立し、亜紀穂はひっそりと三年間を過ごそうと考えていた。こんな何処にでもいそうな田舎の高校生だ。東京とかに行ったら俺より頭いい奴なんで星の数よりいると思う。有象無象に埋もれるくらいがちょうどいいのだと亜紀穂は常日頃から思っているのだ。
「櫻井くん」
遠慮がちというか、内気な声が上から降ってきた。休み時間数学の宿題を解いているところ、席の前の大人しそうな女生徒が話しかけてきた。なんだか見た顔である。いや、違うクラスだったような気もする。でも確かこの前の遠足の行事で一言二言何か話したのを曖昧では




