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「なんて言い訳するかな」
「俺が溺れてたのを助けた、でいいんじゃない?」
「二人で水泳してたんです、だな」
「池田、お礼考えといてね」
「自分で考えようとは思わないのか?」
「他人が考えても本人の欲しいものは分からないから」
獣道はやはり人間が通るものじゃない。亜紀穂は足を少し滑らせながら思う。さっきまで身体を清めていた雨水は、今では土と溶け合い足を乗せるとぐちゅっと音をたてた。靴に土がいちいち付きまとって歩きづらいのだ。そう言うと夏目は確かに合理的だ、とまた笑った。また彼女に似てるなと錯覚する。けれど、夏目はそれ以上に強い感情で、自分を覆い、支配している。そこが違うのだ。亜紀穂は歩きながら彼女の、仕草、歩き方などを思い出す。顔と性格は思い出さなくともいつも胸の中で静かに蠢いている。生き物の様に。
夏目の後姿と、彼女が髪を短くしていた頃の首の項が重なる。目を逸らすようにどんよりと曇った雨空を見上げた。小雨が顔にまたかかる。あの村を思い出す。何気ないきっかけで、胸の奥から脳に記憶が行き渡ってしまう。まだ逃れられないなら、そのままでいいのかもしれない。まだ水の中に溺れていても・・・。亜紀穂は歩を早め夏目の背中を小突くと、なんだよと小さく呟いたのを確かに耳にした。
それから二人が宿泊施設のホテルに着いたのは、意外と早い三十分後のことだった。
二階の教室の窓際から覗くベランダにはいつも、小さな水溜りが出来ている。夏の今の時期に、冷房完備の悪いこの高校は、校庭や庭園、ベランダに水撒きをするのが昔からの習わしだ。日中はベランダから反射する水溜りの照りが亜紀穂の目を刺激する。眩しい。ここの町の気候はそこそこ温暖で、冬の季節は何処の家もコタツ位しか設置しない。その代わり夏は猛暑で、どこまでも続くように太陽が夕暮れまで君臨している。風は強く、所によって林の中では少し涼しく吹いたり、学校内では暖かい風を運ぶときもある。そこそこ田舎で、ちょっと移




