◇Square 6
※大磯直喜視点
アリスの手が俺の耳元に触れた。
ドクンと心臓が大きく高鳴ったのは仕方ない。
初恋の相手が、あの頃の整った顔のまま大人になっているのだから。
「やめろよ。 くすぐったい」
身を引き咎めた。
「ごめん…」
肩を落とすアリスに罪悪感が沸く。 言い方がきつかったかな。
「真凛…俺、言い方きつかったか?」
アリスの隣に居た真凛にコソコソと問う。
「何が?」
少し不機嫌そうな真凛はそう答えた。
「いや…なんか、感じ悪かったかと思って」
そう言うと、真凛は苦笑して、
「可愛い子相手だと、ちょっとした事でも気にしちゃって。 これだから男って奴は…」
と呆れたように言った。
なんだよ。 湖一にならにっこり笑って対応するくせに。
「ま~り~ん~」
こめかみを両掌の付け根でグリグリと押しながら「今のお前ブサイクだぞ」と突っ込んでおいた。
真凛は、痛がりつつも反省した様で「ごめん」と素直に謝罪を口にする。
「お前、いっつも笑顔で可愛いんだから、そんな焦んな」
「…直喜。 ありがと」
俯きながら小さな声で言う。 その姿を本当に可愛いと思う。
きっと湖一も真凛の気持ちを受け止めてくれる日が来る。だから、そんな不貞腐れるな。と言ってやりたいけど、本当にそうなる日が来るのか幼馴染の俺からしても謎だ。
アリスを嬉しそうに見つめる湖一の表情を見ていると、真凛に簡単に「湖一が最後に選ぶのはお前だ」なんて無責任に言える訳が無かった。
いつか湖一が真凛を選ぶ・・・それは俺達幼馴染の願望でしかない。




