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◇Square 3

※大磯直喜視点

今日も湖一は「逆さ山が見えた」と喜んでいる。


だけど、その日は学校でわからない問題をあてられたり、体育で派手に転んだり、湖一にとってのラッキーは起こらなかった。

「今日はついてない…晩御飯がご馳走とかないかな」

肩を落とす湖一。

「だといいな!」

俺は湖一の肩を励ましの意味で軽く叩いた。



次の日。

湖一が満面の笑みで

「あっ直喜!!!」

と走り寄ってくる湖一。

「どうした? そんなに慌てて」

「アリスっ アリス覚えてるか?」

「アリスっ!? 忘れるわけないじゃん」

だって、アリスは年賀状を毎年くれているし……俺の初恋の相手なのだから。

「アリス、昨日うちに来て」

え?

「みんなとも会いたいって」

「こっちに来てるのか?」

「そう!」

昨日の湖一にとってのラッキーは懐かしいアリスとの再会だった。

これは俺にとってもちょっとしたラッキーでは済まされない大きな出来事。


「真凛!!! アリスと会うだろ~」

近づいてくる真凛にもアリスの話をして、あの頃遊んでたみんなに声をかけると言って走り出した湖一。

嬉しそうだな。 湖一もきっと…アリスは初恋の相手なのだろう。

隣で歩く真凛を見ると苦笑している。

「お前、大丈夫か?」

「え?」

「アリス…きっと綺麗になってるんだろうな」

「そうだね。 また湖一はアリスに恋をするんだろうね」

寂しげに笑う真凛。

「恋って…なんだか恥ずかしいワード出たな」

「ははっ まぁ、あの状況見てれば『だろう』じゃなくてもう既に恋をしてるのは確定かな」

と目を伏せる。

真凛が湖一を好きな事なんて、幼馴染の全員が知っている事。

いつまでも告白しないから、このままの関係を続けたいのだろうと周りは理解している。

今のところ湖一に女の影がある訳じゃなかったから。

アリスと出会った頃の湖一は分かりやすくアリスに好意を示していた。

あんな態度を取る相手はアリス以外に見た事が無い。

だから湖一はアリス以外に好きになった人は今まで居なかったのだろうと判る。

真凛はそれを安心していたのだと思う。

真凛が湖一を好きだという態度を取る様になったのはアリスが転校してしまった頃からだった。

きっと真凛の中で、今まで湖一にとって一番仲の良かった異性は自分だったのに、アリスが居なくなったことによって酷く落ち込んだ湖一を見て、嫉妬心が芽生えたのだろう。

その時、真凛は自分の恋心に気付いたのかな…と。

何かペアを決める時、真凛は必ず湖一と組みたがる様になったし、湖一の隣に座る様になった。

目に見える変化だったけど、鈍い湖一は全く気付いていない。

湖一だって、誰よりも真凛を気にかける姿を見せていたので、いつかこの二人は付き合うのだろうと思っていた。

みんなで見守って来たのに。

ここに来て初恋の相手であるアリス登場か。


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