◇Square 2
※山田真凛視点
ずっと好きだった……
バカみたいに真っ直ぐで、思ってる事が全て顔に出てしまっているっていう 嘘がつけないアイツの事が。
「真凛!」
片手を上げて私に近づいてくる想い人。
「湖一っ おはよう」
二人でハイタッチ。
湖一の家は急な坂をしばらく上がった所にあって、その近くに湖がある。
その湖は、空に雲が無く風が吹いていない日限定で、湖面に山を逆さに映し出す。
それは滅多に見れないけれど、湖一の父親は湖に映る「逆さ山」が見えた日は必ず写真を撮って保存しているマニア。
だから、自分の名前は「湖が一番!で湖一」なのだと自慢気に話している。
山が美しく見える場所として観光地になっているその湖だが、他の場所から見た山も素敵だし、何より海が見えるので、地元の人でも湖を一番だと言う人は少ないのかもしれない。
それでも、湖一親子はそう信じて疑わない。素敵な親子の絆と言えるのかもしれないと私は感じているし、私もいつか、その気持ちを分かち合いたいと思っていたりする。
つまり・・・いつか湖一の子供を産んで、その子と湖を毎日見ながら生活したいって事なんだけど。
湖一は物心ついた時から「逆さ山」を見られた日は縁起がいいと信じている。
その習慣もいつか子供に伝えられたら・・・なんて。
叶わないと知っている私の願望。
「今日は見れたんだ?」
「おう」
ウキウキしているのが隠し切れていない。 その姿を見て私も嬉しくなる。
「湖一、真凛 おは」
挨拶してきた幼馴染の直喜にも片手を上げる湖一。
「おっす」
「おっ 今日は見れたんだ?」
「おうよ」
「なんかいい事あるといいな!」
「いつも小さくてもいい事あるよね?」
私が言うと湖一はニカッと笑い、
「ああ、信じる者は救われる!」
と高らかに告げた。
直喜は、苦笑して、
「気の持ちようって気もするけどな~」
と私に向かって呟く。
私はそれに、
「いいじゃない。湖一はそれを信じてるんだから」
と答える。
すると、直喜は「そうだな」と頷いた。
高校生になってから放課後は別々。 それぞれ同性の友達と帰る。
だけど、今日は湖一から「みんなでカラオケ行こうぜ~」と誘われた。
田舎だから、唯一のカラオケ店。 部屋数五部屋の小さなお店。 そこは高校から二キロ程の距離。
「ラッキー最後の一部屋空いてるって」
と湖一が言い、「今日のラッキーはコレだな」と笑った。
いつ湖一が幼い時からずっと願っている「アリスに会いたい」という願望が叶えられるのだろう。




