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◇Square 12

※関アリス視点

キスをしてくれた。

私にとってのファーストキス。

スマートにキスしてきた直喜を恨めしく思う。 私は驚いて目を瞑ることさえできなかったのに。


「ナオキ・・・電車を一本遅らせるからもう少し一緒に居てもいい?」

「いいのか?」

「うん」

二駅先で特急に乗換える為に今の時間の普通列車に乗ろうと思っていたけれど、乗換えを諦めればもう一本遅い普通列車に乗ればいい。


直喜は家の前まで連れて行ってくれて「ここが家」と教えてくれた。

今度はここへ真っ直ぐに向かって会いに来るから。


「アリス」

真剣な表情で直喜がこちらを向いている。

「うん?」

「俺達、何もお互いの事わからないけど・・・知らないことも多いけど・・・」

否定的な言葉に身構える。 やっぱり付き合えないって言われるのだろうか。

キスしたのに・・・直喜にとってキスなんて誰とでもできてしまう事なのだろうか。

「でも、きっと俺にとってアリス以上に好きになれる人は現れないって思うから。だから、迎えに行くまで待ってて欲しい」

私達の年齢で迎えに行くなんて約束が絶対ではない事くらい分かっている。

だけど、私はその約束が欲しかった。

直喜が幼い時のまま、私が好きな直喜のままだったら「好きです」と告白して、そこで振られたら仕方ないし、もしも受け入れてくれたら、今後の約束が欲しかった。

だから、こちらからその事を口にしないうちに直喜が言ってくれて本当に嬉しい。

「会える時は会いたい。 待ってるだけなんて、私には無理だよ?」

笑いながら私は言う。

「そういう意味じゃ無いって」

否定して欲しい事をきちんと否定してくれる直喜。

「じゃあ、どういう意味?」

「・・・辛いことがあった時でもすぐに会える距離じゃない。 アリスが寂しい時に会ってやることも難しいと思う。 でも、必ず俺がアリスの側に行くから。それまで、アリスは俺以外に心を開かないで欲しい・・・って意味。 アリスから会いに来たらダメって意味じゃない」

「・・・じゃあ、願掛けで髪を切らないってどうかな?」

「髪?」

「うん。二人で髪を伸ばし続けようよ」

「俺も伸ばすのか?」

「校則とかで無理?」

「いや、多分それは大丈夫だったはず。結構自由だから」

「じゃあ、そうしよう?」

「ああ、いいよ」

困惑している直喜。

直喜のサラサラの髪を撫で梳かし顔を埋めてみたいと、幼い時から望んでいたのだと、夢が叶った時に直喜に打ち明けよう。


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