◇Square 10
※大磯直喜視点
腕の中に初恋の相手であるアリスが・・・
髪から漂ってくるフローラル系の甘い匂い。
思わず思いっきり吸いこんで、アリスの頭に顔を埋める。
人形の様な容姿で、完璧と言えるアリスが俺に恋していたと聞いて驚く。
アリスと一番仲が良かったのは文句なしに湖一だった。
なのに、俺の事が好きだったなんて。
年賀状で【いつか会いに行きます】と決まり文句の様に書いてきてくれていた。
俺も【いつか会おう】と毎年書いていたが、物理的に会うことは困難な程アリスの住まいは遠いところを転々としていた。
だけど、その約束を十年近く経ってから守ってくれるなんて。
俺は確かに幼馴染の仲では一番モテると思う。
可愛い顔ではなく、カッコイイと言われる事が多い。
自分ではそんな風には思わない。
告白されても、面倒だなと思ってきた。
幼馴染と遊ぶ方が楽しいだろうし、幼馴染の中には女子も居るからその子達との関係を疑われるのも嫌だ。
幼馴染との関係を絶ってまで付き合いたいと思う事ができる女子にはまだ巡り合っていなかった。
多分、アリスに初恋をして以降俺は誰の事も好きになった事は無い。
今まで見た誰よりも可愛いアリス。
優れているのは容姿だけではなく、素直な性格なのも文句のつけようがない。
そんな子はなかなか存在しないものだ。
そのアリスが俺の腕の中。
ぎゅっと抱きしめてみる。
するとアリスは、
「ナオキは誰かと付き合っていたりする?」
と訊いてきた。
彼女が居て、アリスを抱きしめているなら大問題だろう。
「今まで誰とも付き合ったことはないよ」
「そうなの? 私も・・・」
嬉しさを隠しきれていないアリスの声。
「アリスは今、北海道に住んでるんだよな?」
「ううん、東京に引っ越してきたの」
「そうだったのか」
「遠いけど、会えない距離じゃないから・・・あの・・・時々連絡してもいい?」
「会ったりも出来る?」
俺がそう言うと、アリスは顔を上げて、
「うん! 会いに来る! ナオキも来てくれたら嬉しい」
と言う。 なんて綺麗な顔なのだろう。 肌が真っ白で澄んだ碧い瞳。
薄らと桃色の唇に吸い寄せられるように・・・重ねた。
ちゅっちゅと何度か唇を押しつけ離す。
真っ赤になったアリスが目を開けたままこちらを凝視していた。
「俺の初恋はアリスだった・・・アリス以外を好きだと思ったことはないんだ」
「ナオキも?」
アリスもそうだったと言う。
幼い日に出来た縁。
それは決して成就できるものではなかっただろう。
でも、アリスの勇気で俺たちの縁は繋がれた。
だから、今度は俺の誠意できっと、成就されせみせる。
アリスが俺の隣でいつも笑ってくれる日々を夢見た。




