第3片 ——人類最果ての場合
北関東のどこか
「何やら……面白いことが起こりそうですね」
薄暗い空間で青白く光るスクリーンの文字が高速でスクロールされていく。
どこかから傍受してきた会話とメッセージががモニターに大量に映し出されていた。
情報の洪水。
それにすべて目を通す人物が一人。白銀の髪が淡く照らされている。
眼球が高速で動いている。
にわかには信じたいことだが、絶えず流れてくる情報をすべて処理しているのだ。
人類にはおおよそ不可能と言える情報処理能力が求められることは想像に難くないが、この人物なら持ち合わせているのだ。
「人類最果て」なら
彼女にできるのなら理論上は人の能力として獲得可能ではあるのだろうけど……。
それを他の彼女以外の人間に期待するのは少し酷だろう。
「則と一つの世界が正面衝突する機会なんて、なかなか拝めるものではありませんからね」
彼女の琴線に触れるに値する内容だったようだ。
ゆっくりと立ち上がる。
その様子は美しい石像が動き出すかのようである。
立ち姿は、山が迫りくるように荘厳で、ガラス細工のように透き通っている。
暗闇なのに神々しく光り輝いているようだ。
「私の話し相手となれる方が一人でもいると良いのですが……」
人の可能性を極限まで体現した存在は闇を押し分け静かにどこかへと歩きだした。
太陽と月はどちらの方が確固たる唯一性を有しているのだろうか。
太陽と言いたいところだし、太陽系での立ち位置からして(「太陽」系という名前の時点でだが)地球人からすると太陽は絶対的な存在であるのは間違いない。
月はその光をただ反射するだけの存在にすぎない。
でも、もしも太陽よりも強い光を放つ恒星があったらどうだろうか。
きっとその存在は普段から意識される昼の無数の星々の一つに紛れてしまうかもしれない。
――だが、月は。太陽よりもさらに強い光によって、
より強く、夜空で光り輝くのだ。




