Stage15 ―― 次の目的は
「あった……。これか」
思わず呟き、発見した小さな穴を観察する。
「彩花! なんかあったのか?」
やって来た漣に頷いて答えた。こんなところにある穴といえば、まず間違いなく鍵穴だろう。しかし付近の壁を調べるが特に開きそうな部分は見つからない。
「どうしようか。多分ここから塔に登れるんだろうけど」
背後に立つ漣に聞いてみた。ここを開けるための鍵が城内にあるとは限らない。それにこんなに小さい穴だ、鍵そのものも小さいはず。探し出せるだろうか……。
「てかさぁ、なんで五十嵐の情報には塔への行き方がないんだよ。『これで内部構造は完璧だ』とかなんとか言ってたくせに」
「……だいたい本当に必要な情報は手に入らないものだよ。そのほうが盛り上がるしさ、物語の基本だよね」
「はぁ?」
ふざけている場合じゃなかったな。鞄から針金を取り出す。
「とりあえずピッキングしてみるかー」
「なにサラッと言ってんだよ怖ぇな!」
勢いのあるツッコミだった。ちなみにピッキングで人の家に侵入するのは犯罪なので良い子は真似しないでね?。
「でもねー、これ多分……なんか違うんだよ」
指先の感覚で中の様子を探った。
「なんか違う? 何が何と違うんだよ?」
「あのね……。普通の鍵と違うの。なんか、なんて言うのか分かんないけど、これは鍵じゃない」
特別な鍵が必要だ。普通の鍵穴はドアが開かないようにストッパーの役目を果たしているが、これはもっと大掛かりな仕掛けの原動力になる。そんな気がする。
「てことは? 鍵的なのを見つけないとどうにもなんないってこと?」
残念ながら漣が正解のようだ。どこにあるのかはもちろん、城の中にあるのかすら分からないのに。これはもう、詰んでいるんじゃないのか? 私達にはそもそも勝ち目などなかったのかもしれない、時雨に遊ばれているだけなのかもしれない……。
「まぁでも、美青が無事だったみたいで良かった」
立ち上がり軽く首を振って嫌な考えを払った。焦ってもどうにもならないことは分かってる。こういう時、焦りが一番良くないってことも。
「そうだな。あ、あいつならもっと情報持ってんじゃね? もう一回連絡来ねぇかな」
漣の言う通り、鈴音が敵側のタブレットを入手できたのは大きい。認証コードなどがない状態でどこまでアクセスできるのかは分からないが爆弾解除の方法にはたどり着けたようだし、他にも重要な情報を得ている可能性は高いな。鈴音と話ができれば……。
「あ、そっか」
ふと閃いた。いや、なぜ今まで気づかなかったのかが不思議か。
「今度はなに?」
私は不敵に笑って見せる。
「私達が探すべきなのは鍵じゃないよ。美青探そ」




