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救世チュートリアル  作者: 紫吹
第二章:拠点調査
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調査終了しました

「……あれが、拠点なの?」

 拍子抜けした様子の鈴音がぼそっと呟く。

「そうっぽいね。なに? もっと怪しくて不気味なもの想像してた?」

 からかい気味に言うと、

「だってぇ、世界を終わらせる人たちの拠点だよ、アジトだよ? 山の中とか廃屋とか、そういうのが良かった」

と頬を膨らませる。

「良かったって言われてもね。じゃあ、いつか美青が何かの拠点作るときはそうしなよ」

「ん、いいねそれ! 早速私たちの探偵事務所でも作る?」

 余計な提案をしてしまったようだ。

「探偵って自称でなれるの?」

「逆に何の許可がいるの?」

 あっさり返される。

「……確か、探偵業法みたいな法律があった気がするんだけど」

「なにその法律! 中身は?」

「そこまで覚えてない。なんだったかな、書類の提出とか義務づけられてるんだったかな」

 書類と聞いてあからさまに嫌な顔をする。

「えー、面倒そう……彩花に任せる」

 はぁ、私の立ち位置は雑用なのか。

「そんなことよりさ! あれが本当にSOのアジトなのか確かめないと」

「そうだった」

本当に忘れていたわけじゃないだろうな? 鈴音は頭良いんだか悪いんだかよく分からない。

「あの人はこれから戻るって言ってたけど、そっか、ただの家の可能性もあるのか」

 フェンスの陰からこそっと顔を出し様子を伺う鈴音。このままここで見張り続けるのは、やはりまずいだろうな。怪しさの極みじゃないか。

「……スマホの充電ってどのくらい持つ?」

 残りの電力は94%、普段使わないからよく分からない。

「何に使うの?」

「ここに置いといてさ、録画しとけばいいかなーと思って」

「あぁ、それいいね! とりあえず夜まで録っといてみようよ」

「失敗したら違う方法考えようね」

「よろしく」

 にっこり笑う鈴音。……やっぱり私が考えるのね。

「……あ、いいこと思いついた!」

 突然鈴音が私の腕を上下に揺する。

「え、なになに?」

 スマホを落とさないようしっかり握って尋ねた。彼女が嬉しそうに言うことには、

「あれだよ、ビデオ通話あるでしょ? そうすれば私のスマホで監視できるじゃん!」

 いいアイデアだった。


 私の家に戻っくるなり、2人でスマホの小さな画面を覗きこむ。

「よかった、ちゃんと映ってるね」

 奴らのアジトから私の家までは徒歩1時間半といったところだった。私1人で歩けば1時間くらいだろうか。ビデオの様子を確認しながら帰ってはいたが、いつか倒れたりなんだりでうまく見えなくなるのではないかと思うと不安だ。

「今のところ人の出入りないよね……」

 私のベッドに寝転がって頬杖をつき、足をパタパタさせる鈴音。彼女とは長い付き合いだが部屋に入れるのは初めてだったなと、ふと思った。

「私監視しとくから着替えちゃってよ。……まさか着て帰るつもりじゃないでしょ」

 はーいと大人しく返事をして着替え始める。

「……この服かわいかったなぁ。うちにあるのと交換しない?」

 画面から目を話さずに答えた。

「気に入ってくれたならよかったけど遠慮しとくよ。鈴音の服はかわいすぎて私には合わない」

 しばしの沈黙のあと、

「……いつか絶対着せよ」

 ぼそっと呟く。やばい、本気だ。

「いやだよ、絶対着ないからね?」

 そうは言ったが鈴音に強引に押されれば屈するのは結局私だろう。あまり思い出させないようにしよ……。

「楓、交代!」

「ん」

 勢いで交代してしまったが私は着替える必要ないんだよなぁ。仕方ないので今日の変装グッズを片付けていると、鈴音が大声を出した。

「あー!! 楓、見て見て!」

 慌てて近寄ると、尾行していたあの男を含む男性3人がぞろぞろと出ていくところだった。何か話しているようだがさすがに声は拾えていないし、この画像の荒さでは口の動きから推測することも難しい。

 ――パシャッ。

 鈴音がスクリーンショットを撮る。だいぶ薄暗くなってきていることもあり顔の判別まではできないが、とりあえず人数と性別の証拠にはなるだろう。こんなことならもっと高性能な監視カメラでも買っておけばよかった……。

「……どうなの? これでアジトだって言える?」

「どうなんだろう。1回五十嵐に報告してみてもいいかも。五十嵐ならこの写真どうにか鮮明にしてくれるかもしれないし」

「確かに、あの人ならなんでもできちゃう気がする。よし、じゃあ明日本部行ってみよ」

「そうだね」

 朝8時に鈴音の家の前で会おうと約束し、その日は別れた。

 自転車で、スマホを取り戻しにアジトへ向かう。今度は黒めのジーンズに黒シャツといういつもの地味な格好にしたが、やっぱりこの方が楽でいい。

 これでめでたく任務終了となるといいのだけれど。

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