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救世チュートリアル  作者: 紫吹
第二章:拠点調査
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さらに猫を追いかけて

(めい)、おっはよー!」

「おはよ。早速で悪いけどそんな服で行けるわけないでしょ?」

 時刻は6時54分、静寂を切り裂いて駆けてきた鈴音はデートか! と言いたくなるほど可愛らしい格好をしていた。

「えぇー、いつもそんなこと言うじゃん」

「いつもじゃない。もうちょっとフリルとか刺繍とかない服持ってないの? あと、お願いだからズボンで」

 鈴音はうーんと首を傾げる。

「でもこんな感じのしかないよぉ?」

 さすがお嬢様は違うな。確かに、ズボン姿の鈴音なんて体育でしか見たことがない。

「私のでよければ貸すけど?」

 そう提案すると彼女は微妙な顔をする。

「うーん、楓の服着てみたい気もするけど……でもなぁ」

「私のはダサいから嫌?」

「え!? そんなことないよ!?」

 図星か。全く分かりやすい。

「失礼な、私だって少しはましなの持ってるよ。とりあえず私の家行こ」

「はぁい」

 素直な返事に満足し、早朝の如月邸を後にした。


「へぇー……。なんだ、結構いいの持ってんじゃん」

 私たちの家はわりと近所で、10分もかからず行き来ができる。鈴音はうちにつくなりクローゼットを物色していた。

「だから言ったでしょ」

 持っているだけでほとんどの服は着たことがない。鈴音に着てもらえれば服も喜ぶだろう。

「あ、これとかすごい可愛い! ねぇ、ちょっとはいてみてよ」

 楽しそうに取り出したのは半月ほど前に買った、私にしては女の子らしい黒を基調としたロングスカート。もちろんまだ着たことはない。

「だから、スカートは……」

 スカートは走りにくいし座りにくい。私の意見を聞く気はないらしく、間髪を入れずに次を出す。

「じゃあこれ!」

 オフショルダーのパステルピンクのトップスを鈴音の手からかすめ取った。

「私のはいいから! あんまり派手な色じゃないやつ選んでよ」

「分かってるって、どーれにしようかなぁ」

「あ……ちなみになんだけど、これ羽織るつもりだから」

 振り返った鈴音は私の持つ薄手のカーディガンを見て歓声を上げる。

「すごーい! なにそれ、超可愛いじゃん! もう、なんでいつも着ないの?」

「だから、服に興味ないんだってば。これね、リバーシブルなんだ。いいでしょ」

 鈴音に渡したものはペールトーンのピンクとブルー、自分のは白と黒になっている。

「うん、いいねいいね! じゃあそれに合うの選ばないとな」

 何でもいいけど早くしてくれないかな……。やっぱり、単なるジーンズに適当なシャツを合わせただけの私とは違う。

「選びながら聞いてくれる?」

「うん!」

 ちゃんと聞いているのか不安ではあるが、クレア探しの作戦を披露することにした。

「ほら、これ見て……(全くこちらに注意を払ってくれないので諦めて、)あー、後でいいや。この地図なんだけどね、クレアの移動した道が示されてるわけじゃん? で、よく見ると、この線がくねくねしてるとことまっすぐなとこがあるの」

「それでそれで?」

「あっ! ちょ、そこは違うから!」

 躊躇いなく引き出しを開けようとする鈴音を阻止する。

「……えー、そうそう、それでね。まず、SOがどうやってクレアを見つけたのか、なんだけど」

「決まったー!」

 絶対話聞いてない。

「ねぇ、鈴音?」

 得意気な笑みを浮かべる鈴音が選んだのは、ハイウエストの青いワイドパンツに白いシースルーのコンパクトニットだった。

 青と白、まぁいいかな。

「私たち体格だいたい一緒だから着れるよね!」

「多分ね。じゃ、早く着替えちゃってよ」

 部屋の隅でそそくさと着替える鈴音。その間に荒らされたクローゼットを元通りにしておこう。

「よし! どう?」

 目を向けると鈴音はくるりと回って見せた。

「やっぱり私が着るより似合うね。鈴音は可愛いからなぁ」

 冗談めかして言うとえへへと笑う。

「可愛いついでに髪結んでみてよ」

 差し出したゴムとくしを見つめるが、すぐに頷いて受け取った。

「で、今日の予定は?」

 器用に髪を結い上げながらしれっと言う。

「……はぁ。だからね、クレアとSOは、待ち合わせ場所を決めてあるんじゃないのかなって」

「えーっと、さっき言ってた線の違いは?」

 お、聞いててくれたのか。

「直線なのは3ヶ所あって、ほらこことここと……ここね」

 ポニーテールになった鈴音が頷く。

「普段はうろうろしてるんだけど、何かのタイミングでこの場所に移動する。そこで落ち合えなかったら、次の時間まで好きに過ごして……」

「ここに向かうってことね」

 トンとGPSが外された場所を指した。

「なんじゃないかな」

「なるほど。じゃあ今日はここに張り込むんだね! すごい、探偵みたい!」

 目を輝かせる鈴音に微笑みかける。

「じゃあもっと探偵っぽくしちゃおうか」

「うん! なになに?」

「……変装」

 目を丸くした鈴音は、満面の笑みで1度やって見たかったと言った。

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