表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異常存在記録《AER》~怪異の発見、調査、封鎖、そして失敗~  作者: SN


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/60

00-3.【始原遺物】── 人はそれでも手を伸ばす

《異常存在記録報告書:A-E/No.000-3》


識別仮称:《始原遺物》

通称:《世界卵》《空想機関》《神の核》


分類:現実改変型超常遺物

収容状況:封印作戦実施中

危険等級:特級指定

管轄:国連総合ギルド

 異常存在管理局(中央監査部)

閲覧制限:特級閲覧指定



■第三記録:空想戦争



■戦争勃発


《始原遺物》を巡る思想対立は、

やがて外交問題へ発展した。


運用継続派は、

研究成果の独占を開始。


封印派は、

運用施設への監査および停止要求を強化。


双方の対立は急速に激化した。


そして古代竜事案から七年後。


国境地帯にて発生した武力衝突を契機として、

全面戦争が勃発した。


後に、


《空想戦争》


と呼称される戦争である。



■軍事利用開始


戦争初期。

各勢力は通常軍のみで戦闘を行っていた。


しかし戦況悪化に伴い、

《始原遺物》生成技術の軍事利用を開始。


確認記録:


・幻想獣兵器

・自律戦術機構

・超大型魔導兵装

・高位治癒機構

・戦略級防衛結界


これにより、

戦争規模は急速に拡大した。



■軍事利用成果


当初、

運用継続派は圧倒的優勢を維持した。


戦傷による損耗は大幅に減少した。


兵器は自己修復した。


都市は短期間で再建された。


戦争継続能力は飛躍的に向上した。


一部国家では、


「我々の敗北は存在しない」


との発言すら記録されている。



■異常兆候


しかし、

戦争長期化に伴い、

生成兵器群には徐々に共通傾向が確認され始める。


・防衛兵器の過剰反応

・攻撃兵器の高火力化

・治癒機構の過剰修復

・自律兵器の命令拡大解釈


いずれも、

運用者が望んだ性能を超過していた。


当初、

各勢力は性能向上であると判断。


運用停止は行われなかった。



■神代兵装復元計画


戦争中期。


運用継続派に属する

《ヴァルネシア統合王国》は、

極秘計画を開始。


名称:


《神代兵装復元計画》


目的は、

古代文明が保有していたとされる

究極兵装の再現である。



【内部記録:RV-31】


「戦争を終わらせる力が必要だ」


「絶対に敗北しない力が必要だ」


【内部記録:RV-44】


「もし古代文明に究極兵器が存在したなら」


「我々はそれを再現できる」



計画は承認された。


そして実行された。



■神代巨兵出現


計画開始から三か月後。


ヴァルネシア統合王国中央生成区域にて、

超大型人型存在群が出現。


確認特徴:


・城塞級巨体

・超高密度魔力外殻

・自律戦闘能力

・広域破壊術式


当初、

同国は計画成功と判断した。


しかし生成個体群は、

いかなる命令にも従わなかった。



【最終通信記録】


「命令を受け付けない」


「停止しない」


「違う」


「これは我々が作った兵器では――」


通信終了。



■王国崩壊


神代巨兵は、

ヴァルネシア統合王国全域へ侵攻。


浮遊要塞群は撃墜。


防衛結界は突破。


魔導都市は崩壊。


王都は七日後に消滅した。


後に回収された資料では、

同国生存率は一割未満であったと推定されている。



■研究部門見解


現在、

中央監査部は、

神代巨兵出現について以下の仮説を採用している。


当時、

研究班内部では、


「古代文明は、

 強大な兵器の暴走によって滅んだ可能性が高い」


との推測が広く共有されていた。


また、


「絶対に敗北しない兵器」


を求める思想も強く存在していた。


神代巨兵は、

それらの空想が複合的に反映された結果である可能性が高い。



■戦局崩壊


ヴァルネシア統合王国滅亡後。


中立国家群は離反。


運用継続派内部でも分裂が発生。


封印派勢力は急速に拡大した。


そして、

破壊派急進勢力は正式に提案する。


《始原遺物》の完全破壊。


かつて禁忌とされた選択肢であった。


しかしこの時点で、

反対勢力は大きく減少していた。



■暫定結論


現在、

中央監査部では、


《空想戦争》とは、


“空想を制御できると信じた人類”


と、


“空想そのものを恐れた人類”


による戦争であったと定義している。


しかし最終的に、

双方は同じ結論へ到達した。


《始原遺物》を放置できない。


その一点である。



■個人付記


彼らは愚かではなかった。


古代文明が滅びたことも知っていた。


警告文書も読んでいた。


それでも手を伸ばした。


自分たちなら制御できると信じていたからだ。


そして、


その考えは古代文明もまた抱いていたのではなかろうか。


――後の中央監査部

第一監査官《アルヴェイン》



※本報告は「転」段階記録である。


次段階(結)では、

《始原遺物》破壊作戦、

および異常存在管理局設立経緯について報告する。

次回投稿 本日22:00

00-4.【始原遺物】── 終わりは始まりとなる

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ