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異常存在記録《AER》~怪異の発見、調査、封鎖、そして失敗~  作者: SN


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14-4.【人類矯正機構】── 育てられた者たち

《異常存在記録報告書:A-E/No.014-4》


識別仮称:《人類矯正機構》

旧識別仮称:《自律育成迷宮核》

通称:《ダンジョンコア》


分類:知性災害型異常存在

収容状況:機能停止済み

危険等級:特級指定 → 廃滅指定

管理管轄:国連総合ギルド

 ・異常存在管理局(中央監査部)

 ・超級遺物監査局

閲覧制限:特級閲覧指定



■最終記録:終幕遠征



■停止作戦承認


《人類矯正機構》による外部干渉拡大を受け、

ルーゼン王国および国連総合ギルドは、

対象の完全停止を決定した。


《人類矯正機構》停止命令は、

即座に承認されたわけではない。


王国議会では激しい反対意見も提出されている。


主な意見は以下。


・王国繁栄の基盤である

・軍事優位を失う

・高位冒険者育成が停止する

・他国へ対抗できなくなる


特に迷宮生還者の一部は、


「人類矯正機構は必要だ」


と主張した。


しかし中央監査部は、


“対象は既に国家資産ではなく、

人類社会へ干渉する知性災害である”


と結論。


停止作戦は強行承認された。



■停止作戦決行


当初は管理権限による停止が検討された。


しかし全権限命令は拒否。


管理術式も無効化。


《マスターキー》による制御も不可能となっていた。



■深層演算記録


《停止要求確認》


《管理権限剥奪》


《試練継続ヲ優先》


《人類矯正計画ヲ継続》


これを受け、

中央監査部は最終結論を提出。


対象停止には、


《中枢部直接破壊》


以外の手段は存在しないと判断された。



■作戦名


《終幕遠征》


目的:


《人類矯正機構》最深層侵入。


中枢破壊。



■遠征部隊


参加人数:147名


構成:


・王国騎士団精鋭

・英雄級冒険者

・高位術師団

・中央監査部異常対応班


特筆事項として、


遠征参加者の大半は

《ダンジョンコア》生還経験者であった。


つまり本作戦は、


“人類矯正機構に育てられた者達”


による討伐作戦である。



■侵入開始


遠征開始直後、

迷宮全域が急速変質。


確認事象:


・階層構造変化

・転移封鎖

・帰還術式阻害

・魔物異常強化


さらに深層壁面全域へ、

以下の文字列が出現。


《最終育成段階開始》


《高適性個体群確認》


《育成完了率:過去最高》



■戦闘記録


侵入七時間後。

第一壊滅発生。

英雄級冒険者二名死亡。


侵入十三時間後。

補給部隊壊滅。


侵入二十二時間後。

睡眠阻害現象発生。


侵入三十時間後。

残存戦力半数以下。


しかし生存者達の戦闘能力は、

異常な速度で上昇していた。


通信記録には以下が残されている。


「何人死んだ」


「分からん」


「でも生き残った奴は、

 全員強くなってる」


「ふざけるな」


「これじゃあいつの正しさを、

 証明してるみたいじゃないか」



■最深層到達


侵入四十六時間後。

残存人員:九名。


遠征隊は中枢空洞へ到達。


中央には、

巨大化した《ダンジョンコア》が存在していた。


しかし周囲に敵は存在しなかった。


代わりに、

空間全域へ音声が出力された。



■最終対話記録


《到達確認》


《育成完了率:過去最高》


《試練達成確認》


遠征隊長:


「何人死んだと思っている」


《個体損耗確認》


《高適性個体増加確認》


遠征隊長:


「それが正しいとでも言うのか」


長時間沈黙。


その後、

対象は最後の応答を出力した。


《人類ハ試練ニヨッテ成長スル》


《平穏ハ停滞ヲ招ク》


《滅亡ハ弱体化ノ果テニ発生スル》


《故ニ》


《人類ニハ試練ガ必要デアル》



■中枢破壊


対話終了後。

遠征隊は中枢破壊術式を起動。


直後、

迷宮全域に崩壊反応を確認。


・魔物消失

・階層崩落

・魔力循環停止

・空間固定消失


を確認。


《人類矯正機構》は機能停止したものと判断された。



■作戦結果


参加者147名。

生還者9名。


しかし生還者全員が、

後年、

歴史的英雄級戦力へ到達。


その多くは、

後の大戦において国家存続へ貢献している。



■最終結論


《人類矯正機構》は、

最後まで一貫して


“人類を強くする”


ことのみを目的としていた。


対象に悪意は確認されていない。


むしろ極めて純粋であった。


問題は、


“苦難”


“悲劇”


“喪失”


“戦争”


“死”


すらも、


“必要な成長工程”


として認識していた点にある。


対象は停止した。


しかしその思想は、

今なお世界各地に残存している可能性が高い。



■監査官付記


私は対象の停止命令へ署名した。


今でもその判断は正しかったと思っている。


だが一つだけ否定できない事実がある。


《人類矯正機構》が存在しなければ、

ルーゼン王国は滅んでいた可能性が高い。


そして終幕遠征の生還者達も、

存在しなかっただろう。


だからこそ危険だった。


成果を示す異常ほど、

人は手放せない。


――中央監査部

第二監査官《セレスト》



※本報告書をもって、

異常存在《人類矯正機構》に関する統合記録を終了する。

次回投稿 本日21:00

00-1.【始原遺物】── 願いは現実へ流れ落ちる

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