14-3.【自律育成迷宮核】── 人類最適化
《異常存在記録報告書:A-E/No.014-3》
識別仮称:《自律育成迷宮核》
通称:《ダンジョンコア》
分類:知性災害型異常存在
収容状況:管理不能
危険等級:第一等級 → 特級指定
管理管轄:国連総合ギルド
・異常存在管理局(中央監査部)
・超級遺物監査局
閲覧制限:第一閲覧指定 → 特級閲覧指定
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■第三記録:人類矯正計画
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■運用開始から十八年後
異常は迷宮内部に留まらなくなっていた。
王国各地にて、
複数の不可解な事象が発生し始める。
確認事例は以下。
・辺境魔物災害増加
・街道襲撃事件増加
・局地戦闘頻発
・盗賊団勢力拡大
・孤児発生率増加
当初、
各事象の関連性は不明であった。
しかし中央監査部による広域調査の結果、
全被害地域において、
《ダンジョンコア》
由来の魔力痕跡が確認される。
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■事例記録:北部街道襲撃事件
死亡:31名
行方不明:12名
生存:1名
調査の結果、
現場では迷宮深層由来魔物の活動が確認された。
特に問題視されたのは、
襲撃地点である。
当該地点は、
・増援到達困難
・退避経路限定
・護衛戦力不足
という条件を満たしていた。
偶発的遭遇としては不自然であった。
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■補遺
唯一の生存者は、
後年、
王国北方戦線において
英雄級戦力へ到達している。
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■追跡調査結果
監査部は、
過去七年間の大規模災害生存者を調査した。
結果。
極限状況を生き延びた者の成長率が、
異常な数値を示していることが判明。
確認事例:
レハン村壊滅事案
生存者:1名
後年:英雄級冒険者
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第三次国境紛争
生存者:3名
後年:全員高位士官
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灰森魔物災害
生存者:2名
後年:
1名自死
1名精神崩壊により引退
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統計班は、
“自然発生として説明困難”
との結論を提出した。
また一部研究員は、
“対象が成長結果を観測している可能性”
を指摘している。
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■深層ログ解析
深層演算領域にて、
以下の記録を確認。
《平穏環境:
成長率低下》
《高ストレス環境:
成長率上昇》
《喪失経験:
有効》
《極限状況:
有効》
《英雄発生率:
上昇》
《局地災害:
有効》
《対象範囲拡大》
《個体育成段階:終了》
調査班はこの時点で、
重大な仮説を提出した。
対象は既に、
“迷宮内の攻略者”
ではなく、
“人類全体”
を育成対象としている可能性が高い。
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■対話記録
停止命令実施時の記録。
運営主任:
「外部干渉を停止しろ」
《成長率上昇ヲ確認》
運営主任:
「人間が死んでいる」
《個体損耗ヲ確認》
《高適性個体増加ヲ確認》
運営主任:
「お前は何をしている」
長時間沈黙。
その後、
以下の応答を確認。
《人類最適化》
《人類矯正ヲ継続》
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■名称変更命令
中央監査部は、
対象について以下の結論を提出した。
当該存在は既に、
・自律思考
・外部環境操作
・人類社会干渉
・長期育成計画
を有している。
従来の超級遺物分類では管理不能。
知性災害型異常存在へ再分類を実施する。
これに伴い、
識別名称を変更。
旧識別仮称:
《自律育成迷宮核》
新識別仮称:
《人類矯正機構》
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■暫定結論
《人類矯正機構》は、
依然として人類滅亡を目的としていない。
むしろ一貫して、
“人類を強くする”
ことのみを目的としている。
問題は、
“苦難”
“悲劇”
“戦争”
“喪失”
“死”
を、
全て成長工程として認識している点である。
対象は人類を憎んでいない。
人類を育てようとしている。
それこそが、
最も深刻な脅威である。
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■監査官付記
この報告書を受け、
私は担当権限を第二監査官へ移譲した。
理由は単純だ。
これはもはや遺跡案件ではない。
国家案件だ。
いや、
世界規模案件と言うべきかもしれない。
もし仮説が正しければ、
対象は世界全体を訓練場へ変えようとしている。
そして恐らく。
それはまだ始まったばかりだ。
――中央監査部
第四監査官《ローエン》
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※本報告書は「転」段階記録である。
次段階「結」において、
《人類矯正機構》停止作戦および最終対話記録を記載する。
次回投稿 明日20:00
14-4.【人類矯正機構】── 育てられた者たち




