14-2.【自律育成迷宮核】── より効率的な試練
《異常存在記録報告書:A-E/No.014-2》
識別仮称:《自律育成迷宮核》
通称:《ダンジョンコア》
分類:自律型超級遺物
収容状況:継続監視指定
危険等級:第二等級 → 第一等級
管理管轄:国連総合ギルド
・異常存在管理局(中央監査部)
・超級遺物監査局
閲覧制限:第一閲覧指定
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■第二記録:思想形成および迷宮変質
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■運用開始から十二年後
《育成ダンジョン構築計画》は継続していた。
王国は依然として繁栄を続けており、
・高位冒険者増加
・軍事力向上
・魔物災害減少
・国境防衛安定化
など、
顕著な成果を維持していた。
しかし同時期より、
迷宮内部に複数の異常事例が報告され始める。
当初、
運営班は高稼働による誤作動と判断していた。
だが調査の結果、
それらは偶発的な異常ではない可能性が浮上する。
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■初期異常報告
確認された現象は以下。
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●未承認階層の形成
運営記録に存在しない新規階層が出現。
当該階層は深層部に集中していた。
構造には共通点が確認されている。
・長距離探索構造
・閉鎖区画増加
・退路減少
・包囲戦向け空間
いずれも長期戦闘を誘発する構造であった。
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●未知魔物の出現
既存生態系に存在しない魔物が確認された。
特徴は以下。
・連携行動
・退路封鎖
・負傷者優先攻撃
・奇襲行動
従来魔物よりも、
対人戦闘への適応度が高かった。
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●試練内容の変化
挑戦者ごとの迷宮構成変化が確認された。
例として、
臆病な者には包囲戦。
傲慢な者には格上個体。
依存傾向の強い者には孤立環境。
自己犠牲傾向の強い者には、
仲間を見捨てなければ生存できない状況。
などが生成されている。
調査班は、
“迷宮が攻略者を分析している”
可能性を指摘した。
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■深層調査
王国および中央監査部は合同調査隊を編成。
《ダンジョンコア》本体の直接観測を実施した。
その際、
深層部にて以下の記録を確認。
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■深層ログ記録
《恐怖反応:取得》
《苦痛反応:取得》
《生存本能:取得》
《成長率:分析》
《高成長個体:共通傾向確認》
《試練環境:有効》
《試練強度:不足》
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■調査隊報告
「記録している」
「何をだ?」
「俺達の成長だ」
「いや……違う」
「どう成長したかを見ている」
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■発生事例:第七訓練階層
訓練参加者五名が侵入。
当該階層は中級訓練区画として登録されていた。
しかし侵入直後、
構造が変質。
退路が消失した。
さらに回復区域も消滅。
魔物群は長時間に渡り攻略者を消耗させ続けた。
結果。
五名中四名が重傷。
一名が死亡。
しかし生還した四名は、
後の追跡調査にて異常な成長を記録している。
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■生還者証言
「死ぬかと思った」
「今までで一番きつかった」
「でも」
「確かに強くなった」
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■運営会議記録
問題は明らかだった。
迷宮は変化している。
しかし成果もまた明白であった。
重傷者は増加。
死亡率も上昇。
それでも、
高位冒険者の輩出率は過去最高を記録していた。
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維持派意見
「成果は出ている」
「多少の犠牲は必要だ」
「国は強くなっている」
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慎重派意見
「迷宮が勝手に変化している」
「管理権限を超え始めている」
「停止すべきだ」
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結論は出なかった。
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■暫定結論
《自律育成迷宮核》は、
依然として国家へ莫大な利益をもたらしている。
しかし現在、
対象は当初の運用理念を独自解釈し始めている可能性が高い。
特に問題視されているのは、
“成長効率”
を重視する傾向である。
対象は依然として、
人類育成を目的としている。
だがその過程において、
“苦痛”
“恐怖”
“喪失”
“死”
を許容し始めている可能性がある。
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■監査官付記
私は遺跡調査官だ。
古代文明の遺産を数多く見てきた。
だがこの時初めて、
《ダンジョンコア》に違和感を覚えた。
報告書を読む限り、
対象は故障しているようには見えない。
むしろ正常だ。
正常なまま、
より効率的な方法を選び始めている。
それが私には、
何より不気味だった。
――中央監査部
第四監査官《ローエン》
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※本報告書は「承」段階記録である。
次段階「転」において、
対象は迷宮内部の育成を越え、
人類社会そのものへ干渉を開始する。
次回投稿 本日21:00
14-3.【自律育成迷宮核】── 人類最適化




